*「'08 4/13 第1回ダルフール写真展」カテゴリ
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北京オリンピックまで100日を切った中国。空前の経済成長を続ける中国のしたたかな戦略とは―。「中国のやり方は植民地時代と変わりませんよ」日本を尻目に膨張する中国。国益のために突き進む驚きの実態を追った―。
膨張する中国の実態
【司会者・田丸美寿々さん】(スタジオにて)
「聖火リレーで各会場を埋め尽くすあの真っ赤な国旗に中国のパワーを見た方も多いと思うんですけれども、その中国の進出、意外な所でも圧倒的なパワーを見せつけているんですね。そこで私たちはまず、今月の末に横浜で開かれますアフリカ開発会議の親善大使を務めていらっしゃる女優の鶴田真由さんの南部スーダン訪問に独占密着しました。そして現地の様子と日本の支援の状況から取材を始めてみました。」
際立つ日本と中国の違い
【ナレーター】
先月(4月)1日、鶴田さんが到着したのはアフリカ・スーダン南部の中心都市・ジュバ。アフリカ最大の面積を誇るスーダンだが、建国以来50年に及ぶ内戦の爪痕がこの地域では特に色濃い。鶴田さんは日本のODA、政府開発援助を扱うJICA(国際協力機構)が運営する職業訓練所を訪れた。
【記者】VTR
「何の研修ですか?」
【女性】
「家の壁作りよ。」
【記者】
「ここを卒業したらどうしますか?」
【女性】
「まず自分の家を作りたいわ。(夫は)兵士でしたが、内戦で射殺されました・・。」
【ナレーター】
この他、JICA(国際協力機構)は電気の配線や木材加工、ミシンなど、いわば手に職をつける支援を行うことで、地元の人たちの自立を促す事業を続けている。また水道がほとんど整備されていないため、井戸や浄水器を設置する作業も進められている。この井戸は去年JENという日本のNGOが掘ったもので、周辺住民が飲み水や煮炊きに利用している。
日本の支援の“限界”
【記者】VTR
「井戸を掘ったのは?」
【女性】
「知らないわ。みんな知らないと思うわ。日本の人が井戸を掘れるならもっとたくさん掘ってほしいわ。この井戸は遠すぎるのよ。」
【ナレーター】
この人は20キロのタンクを2つ持って歩いて1時間半かかる家に帰っていった。井戸のない所ではどうしているのか?鶴田さんは1年前にウガンダの難民キャンプから帰国したダスマンさんの家を訪ねた。
【アフリカ開発会議親善大使・鶴田真由さん】VTR
「ここには何人で住んでいますか?」
【ダスマンさん】
「子ども10人と親戚がいるわ。」
【記者】
「飲み水はどうしている?」
【ダスマンさん】
「近くの水たまりを使っているけど、とても汚いのよ。すごく臭いのよ・・。」
【アフリカ開発会議親善大使・鶴田真由さん】
「水たまりじゃなくて、もうちょっと流れている所で汲んでいるってことを想像していたので、こんなに濁った水を飲む・・、一つ驚きですね。あともう一つさらに驚いたのは、このまま飲むっていう・・。ここのお水で体は大丈夫ですか?お腹こわしたりしませんか?」
【ダスマンさん】
「病気になるわよ。下痢したり体のあちこちが腫れたりするわ・・。」
【ナレーター】
国際機関の調査では、この地域の子どもは3歳までに半数が死亡する。水環境を改善すれば生存率は上がるが、井戸を掘るには平均で130万円かかる。
【JICAスーダン 穴戸健一事務局長】
「どうしてもこの国では(インフラの欠如で)何も生産もできないし技術者もいないと。この周辺国から出稼ぎに来ている人たちを使って工事をしなきゃいけないってことでですね、なかなかスーダンの労働者の人たちにお金が落ちる仕組みになっていないってところでは非常にハンデを背負っていると思います。」
【ナレーター】
また大規模な食糧配布と違い、井戸掘りなどの地道な支援は規模が小さいこともあって「日本の支援」だと知らない現地の人も多い。
【記者】VTR
「日本の支援だと知らない人が多いが?」
【アフリカ開発会議親善大使・鶴田真由さん】
「やっぱり日本人として、そのちょっと、やってはいるのに見えてこないっていうことに、ちょっとだけ残念に思います。」
日中の違い その背景
【ナレーター】
日本の支援の存在感が薄い理由には、活動規模の問題の他にスーダンの特殊事情がある。西部ダルフール地方で今なお続く内戦について「スーダン政府が虐殺に加担している」という批判が国際社会から上がっている。こうした批判に配慮して日本政府は支援内容を食糧や水など人道分野に限定し、スーダン政府への直接支援は行っていないのだ。ところが日本が支援の対象としていない地域ではまったく違う光景が広がっていた―。
英国の遺産 中国の野望
【ナレーター】
ジュバから北に1,200キロ、スーダンの首都・ハルツーム。道路は美しく舗装され、近代的なビルが整然と立ち並ぶ。同じスーダンでどうしてこんなに違うのか?
植民地化される前のスーダンは、ハルツーム近辺までがイスラム文化圏で、それより南では土着のアフリカ文化が点在していた。これらを一まとめに植民地化したイギリスは、北部に資本を集中させ南部を切り捨てた。(1899年イギリスによる植民地化)この100年以上前の分割統治によって南北の格差が固定され、歪みは今も変わらない。着飾った女性があふれ携帯電話の普及も進むハルツームの街並みは、今なお変わらぬ北部の圧倒的優位をのじつに物語っている。
増殖する中国企業
【ナレーター】
この町では最近中国企業の看板をよく見かけるようになった。(映像:CNPC「中国石油集団」)ガソリンスタンド、中国語で診察を受けられる中国人のための病院、ナイル川に中国が建設した橋の近くで巨大なビルを建てているのも中国企業だ。(映像:PDOC ECG CHINA JIANGSU)ほとんどの商品が中国製。店内では中国語が飛び交う。(映像:中国食材スーパーの看板「合家超市」)
【記者】VTR
「主な客は?」
【スーパーの店主】
「中国人がほとんどだね。ハルツームには中国人がたくさん住んでいるからね。それと地方にいる中国人もたくさん買いに来るよ。」
【記者】
「どこから来た?」
【スーパーの客】
「北だよ。北のダムで働いているんだよ。」
【ナレーター】
彼らが働いているというナイル川のダム建設現場に行ってみた。
【記者・山口敬之さん】(スーダン北部)
「こちらが現在アフリカ大陸で行われている最大の建設プロジェクト・マロウィダムです。手前のナイル川の水をせき止めて、完成時には1,250メガワットの水力発電所となります。」
【ナレーター】
このダム建設によって5万人の地元住民の家屋が水没することから暴動まで起きた巨大プロジェクト。(5万人が強制移住、大阪府とほぼ同じ面積が水没)中国は中東以外の国で唯一このダム建設に参加している。これまでに巨費した1,900億円は総事業費のおよそ4分の1。さらに1,700キロに及ぶ送電線はすべて中国企業が建設する。そして中国が負担したのは金だけではない。
押しよせる中国人労働者
【ナレーター】
少なくとも3,000人の中国人労働者が現地入りし、最低でも2年間は現地に留まって建設作業に従事する。彼らに聞くと多くは中国東北部の農村地域からやって来たという。(映像:中国人労働者居住区・マロウィダム工区)大量の労働者まで派遣して、何故アフリカで巨大ダムを作るのか?中国の労働事情に詳しい専門家は「国内に多くの失業者を抱える中国にとっては、実はメリットの大きい事業」だと指摘する。
【東京大学・丸川知雄教授】
「労働者が国に送金したりすることで国全体として外貨を稼げるということですね。同時に国内の余っている労働力を海外で生かせるという一石二鳥の事業として行われています。」
中国が狙うアフリカ資源
【ナレーター】
しかし中国はすべてのアフリカ諸国と同様に付き合っているわけではない。例えば中国が大規模支援を重点的に実施しているこれらの国(ナイジェリア、アンゴラ、ジンバブエ)は、みな石油や希少金属など中国が求める天然資源を豊富に持っている。
90年代後半、大規模テロに関与したとして国際的孤立を深めていたスーダンと中国が急接近したのも石油がきっかけだった。石油を掘って輸出したいスーダンと、経済発展で石油が足りなくなってきた中国の利害が一致したのだ。中国は厳しい国際批判ももろともせず、油田開発で合意すると次々と掘削を開始。1,500キロに及ぶパイプラインも中国が建設し、99年には早くも本格的な石油輸出が始まった。
【スーダン大学 アブダラ・アリ教授】
「現在、スーダンの石油の82パーセントが中国向けです。」
【駐スーダン 李成文中国大使】
「中国はスーダンに包括的な石油生産システムを作り上げました。スーダン経済にとって歴史的転換だったわけで、スーダンの人々は中国人を歓迎しているのです。」
【ナレーター】
ハルツーム市民は―。
【男性】VTR
「中国は大統領公邸を造っただろう?それから大きな国際会議場もタダで造ってくれたんだよ。中国みたいにしてくれる国は他にはないよ。」
【女性】
「中国は病院をたくさん造ってくれたし、ナイル川に橋も架けてくれたわ。中国は頼りになるわ、ええ。」
【記者】
「日本について知っていますか?」
【女性】
「???ごめんなさい、知らないわ。中国とは別の国?」
中国パワーが生む摩擦
【ナレーター】
しかし最近は「大規模支援を口実に中国がスーダン経済を牛耳っている」として、スーダン国内からも批判が高まっている。
【スーダン大学 アブダラ・アリ教授】
「中国には失望しています。中国のやり方は植民地時代と変わりませんよ。中国人はスーダンから天然資源を奪っていくだけなのです。」
【ナレーター】
国際的な非難の声も強まっている。ハリウッドのスティーブン・スピルバーグ監督が今年2月、記者会見を開いた。
【スティーブン・スピルバーグ監督】VTR
「世界中の人が恐怖に満ちた世界を変えようとしています。」
【ナレーター】
「中国のスーダン政府支援がダルフールの内戦をエスカレートさせている」として、抗議の意味を込めて北京オリンピックの美術監督を辞任したのだ。
【駐スーダン 李成文中国大使】
「彼の辞任は北京オリンピックにとって痛手ではありません。北京オリンピックとダルフール問題を関連づけるのはフェアではありません。ダルフール問題は中国が引き起こしたのではないのです。」
【ナレーター】
批判や軋轢をものともせず中国人は世界中に進出している。そしてそれが新たな交流を生んでいることも事実だ。
【スーダン人技術者】VTR
「現場の言葉は英語だったんですが、最近はついにスーダン人労働者が中国語の勉強を始めましたよ。」
日中 企業パワーの差
【東京大学・丸川知雄教授】
「日本がアフリカでじゃあ中国と同じことができるか?というとですね、同じことをやるには企業がついて来てくれなきゃいけないと。日本企業がアフリカに出て行くガッツがあるのかな?と・・。」
【ナレーター】
ODA・投資・貿易が三位一体となった中国のアプローチは、かつては日本のお家芸だった。しかし日本企業のアフリカへの直接投資は毎年20億円程度。今や中国の20分の1にも満たないという。
「抜けがけ」する中国 狙いはアフリカ権益
【司会者・田丸美寿々さん】(スタジオにて)
「寺島さん、中国があんなにもアフリカに、しかも紛争地域に進出しているというのはすごいですねぇ。」
【日本総研会長・寺島実郎さん】
「そうですね。我々知らなきゃいけないのは、その中国とアフリカの歴史的な関係の深さってやつなんですけど。もう1964年に周恩来がアフリカ10か国を歴訪している後からですね、大変な中国のアフリカに対する支援とか援助っていうのは蓄積があるんです。で、その中国とスーダン、我々も驚いていますけれども、去年2,000億ドル以上の石油がスーダンから中国に流れていると。それから4億ドルを超す投資残高を中国はスーダンに対して持っていると。」
【司会者・田丸美寿々さん】
「石油があるからなんでしょう?」
【日本総研会長 寺島実郎さん】
「ええ、そうなんですね。資源外交、共生外交って言われているんですけども。で、悩ましい中国っていうのがそこに見えてくるんですけどね。例えば国連とか世界銀行とか先進国が腰が引けるんです。何故ならば人権問題だとか、あるいはこういういわゆる虐殺なんていうことがあってですね、こういう国に対する制裁だとかみんなためらいます。その間隙を突くかたちで中国がどんどんスーダンを始めとするアフリカの資源国に入って行くって言いますか・・。」
【司会者・田丸美寿々さん】
「中国にとって人権も何も、自分の所すら言われているわけですから、相手の国の事は言えないでしょうね。」
日本と中国 際立つ支援の違い
【日本総研会長 寺島実郎さん】
「内政不干渉みたいなかたちで入っていっちゃうんですね。そこで悩ましい中国なんですけれども、日本としてこれ見ていると、地道な活動を積み上げているわりには評価されないと苛立つんですけども、ここはですね、別な言い方では国際社会の中で日本のこういう種類の貢献に対して高い評価をしている人たちもジワジワといるんです。で、特に今月は横浜でね、このアフリカ開発会議が行われる。2年前48か国の元首が北京でアフリカサミットっていうのをやったのを思い出すんですけども、日本もジワリと、やはりアフリカに対していい意味での関係を築いていく良いチャンスで、今月この開発会議を注目しなければいけないと思います。」
【司会者・田丸美寿々さん】
「はい、今月末ですね、開発会議。日本は巻き返しを図ることができるんでしょうか?注目です。今週の注目でした。」
日本総研会長 寺島実郎さん
安全保障や経済政策の論客として知られる。1947年北海道生まれの「団塊世代」。
終わり






