スクープ“時効殺人男”の仰天言い訳
【リポーター・高村智庸さん】(スタジオにて)
「東京足立区で起きた女性教師殺人事件で、犯人の男は時効が成立してから自首しました。この時効を逃げ切った男は事件について身勝手な言い訳をしています。その言い訳を独占入手しました。」
「被害者の霊が謝った」“時効殺人男”驚愕“手記”
【ナレーター】
体調不良を理由に一度も裁判所に出廷しなかった男。殺人を犯しながらも時効によって罪を逃れ、今も悠々自適に犬の散歩などを楽しみながら山間の町で暮らす―。
【記者】VTR(今月5日)
「裁判の件で・・・」
【時効殺人男(70代)】
「お断りします!」
【時効殺人男(70代)】VTR(去年10月)
「テレビ朝日には何もしゃべる必要はない!」
【記者】
「どうしてですか?」
【時効殺人男(70代)】
「どうして?何でしゃべらなければならないんだ、じゃあ?」
【記者】
「被害者の遺族に対してまだ謝罪がないということなんですが。」
【時効殺人男(70代)】
「そんなことはあんた方の知ったことじゃないよ!そんなことは俺の勝手だっ!」
【ナレーター】
体調不良どころか、我々に石を投げつけて大声を張り上げるほど。
【記者】
「謝罪っていうのは?」
【千佳子さんの弟・石川憲さん】
「いやぁ丸っきり、ありませんよ!」
【記者】
「何にも?」
【千佳子さんの弟・石川憲さん】
「何にもありませんよ!」
【千佳子さんの弟・石川雅敏さん】
「だから犯人はもう本当、極悪非道って言葉がもうそのまま当てはまりますよ。」
【ナレーター】
さらに男は妙な言い分を書き連ねた文書を作り、あたかも被害者側に非があったかのように事件を語り出したのだ。
【時効殺人男(70代)の言い訳文書より】
「千佳子さんが死んで数ヵ月後、私の目の前に、亡くなった千佳子さんの霊が出てきて『ごめん』と言って私に頭を下げたのです。やっぱりあの時、何もしていない千佳子さんに手をかけたわけではないんだな、と思いました。罠にはめられたと思います。」
【ナレーター】
今週(13日)、東京高裁で行われた民事裁判。姉の無念を晴らすため、弟二人が北海道から駆けつけた。
【千佳子さんの弟・石川憲さん】
「東京高裁の裁判を信じる、って変だけど、うん、正義を信じて待つ・・・。」
【千佳子さんの弟・石川雅敏さん】
「殺された被害者側の気持ち、遺族の気持ちをもう少し考慮して判決をぜひしていただきたい。」
【ナレーター】
姉の死が明らかになったのは3年前のこと。それ(1978年)まで行方不明だった26年間、家族は千佳子さんが生きているのか死んでいるのかまったく知ることができなかったのだ、あの日まで―。
「私が石川千佳子さんを殺害し、自宅床下に埋めていました。」
当時、足立区の小学校教諭だった千佳子さん。その彼女を「殺害した」と自首したのは、同じ学校で警備員をしていた男だった。殺害から26年間、自宅をまるで要塞のように厳重に囲い発覚を逃れ続けた。「区画整理で自宅を取り壊すことになり観念した」と言うが、大学の法学部で学び、刑務所の刑務官も務めた経歴を持つこの男にとって、殺人罪の時効がすでに成立し刑事責任を問われないことは承知の上だったことだろう。我々の取材に対しても、その法律知識を披露してみせた。
【記者】VTR(去年10月)
「被害者の遺族に対してまだ謝罪がないということなんですが。」
【時効殺人男(70代)】
「そんなことはあんた方の知ったことじゃないよ!民事事件だよ。民事では裁判所に全部文書は提出してある。それでもってみんな裁判の関係者は知っていることだ。ね、あんた方には教える必要はないっ!」
【記者】
「でもあなた1回も裁判に出てないじゃないですか!」
【時効殺人男(70代)】
「そんなことはねぇ、大きなお世話なの。あんた方にどうのこうの言う必要はないこと。分かった?刑事事件でもね、刑事事件だってあんたそうだろうが。ねっ、しゃべる必要のないことはしゃべらんでいいんだよ。まして民事なんだ。民事はね、弁護士が代わりに出ればいいんだよ。そういうことになっているんだ!分かった?」(威圧的な物言いでした)
【記者】
「どうしてじゃあ裁判には出ないんですか?」
【時効殺人男(70代)】
「そんなことは俺の勝手だっ!」
【記者】
「どうして?どういう勝手があるんです?どういう事情があって出られないんですか?教えてください、それちょっと。」
【時効殺人男(70代)】
「・・・」(車に乗る)
【ナレーター】
この元警備員の男が余裕しゃくしゃくと日常生活を続けられるのには訳があった。殺人罪の時効が成立して刑事責任を問われないことに加え、遺族側が訴えた損害賠償を求める民事裁判でも時効の壁に守られる可能性があるためだ。民法では「不法行為から20年が経過すると損害賠償の請求権がなくなる」とされている。
【千佳子さんの弟・石川憲さん】
「人を殺しててね、何を言うかっていうんですよ!不法行為やって『20年経ったら時効だよ』って威張るっていう、大手を振ること自体がおかしいですよ。」
【ナレーター】
千佳子さん殺害後も地方公務員として給料をもらい、退職金そして年金も受け取りながら、何の償いもすることなく悠々自適な老後をおくる男。当時の学校関係者も憤りを隠せない。
【元警備員を知る当時の学校関係者】
「死人に口なしでねぇ、勝手なことばっかり言ってねぇっ!」
「女教師の罠にはまった」“時効殺人男”仰天言い訳
【ナレーター】
千佳子さんは何故殺されなければならなかったのか?実は男が殺害までの経過を自ら書き綴った文書が存在することが分かった。その驚愕の内容・・・。
【時効殺人男(70代)の言い訳文書より】
「私は、罠にはめられたと強く思いました。」
【ナレーター】
男の書いた文書は、400字詰め原稿用紙に換算すると50枚以上。「嫌がらせ・その1」から「その2」「その3」「その他」という見出しがつけられている。
【時効殺人男(70代)の言い訳文書より】
「弁当に毒物を入れられたことについて書きます。」
「毒ガスを撒かれたと思われることについて書きます。」
【ナレーター】
当時、自分が学校で教師たちから受けたという嫌がらせについて一方的に延々と書き連ねている。そして―。
【時効殺人男(70代)の言い訳文書より】
「石川先生の行動で、過去に不審に思ったことが2回ありました。」
【ナレーター】
男はこの文書を民事裁判で訴えられてから書き上げたという。内容を追っていくとその真意が浮かび上がってくる。
【時効殺人男(70代)の言い訳文書より】
「事件のあった8月14日の午後、私は校舎内の戸締りなどをしながら巡回していました。廊下を歩いていると、石川先生が廊下の角から顔だけ出したので、『こんなところで隠れるようにして何をやっているんだ!』と言いました。すると石川先生は意味の分からないことを言いながらバッグのようなもので、いきなり私の顔を殴ってきたのです。
私が『何をするんだ』と言いながら両手で払うと、特に強く押したわけではないのにもろにひっくり返り、『キャー、助けて』とものすごい大声をあげたのです。しまった、罠にはめられたという怒りが生じ、夢中で石川先生の首を押さえたのです。気づいた時には先生は動かなくなっていました。」
【ナレーター】
そして男は「目撃者がいないことを確認し、死体を隠せば犯行は分からないと思い、自宅和室の床下に埋めたのだ」と言う。
【時効殺人男(70代)の言い訳文書より】
「事件後のことについて書きます。とにかく平静を装うことにつとめました。石川先生が失踪したということで大騒ぎになりましたが、教頭先生に聞かれたときも私はとぼけていました。しかし、精神的にも2カ月ぐらいが限度で、私は自分も死んで全てを終わりにしようと考えました。」
【ナレーター】
自殺を考え、自宅で刃物を手にした時・・・。
【時効殺人男(70代)の言い訳文書より】
「その時、私の目の前に石川先生の姿がはっきりと見えたのです。石川先生の霊は私に『ごめん』と一言言って頭を下げ、すーっと消えていきました。その時、恐怖は全く感じず、ああ、やっぱり何かあったんだ、俺は何もしていない石川先生を手にかけたわけではないんだな、と思いました。」
【ナレーター】
男は「亡くなった千佳子さんの霊が出てきて自分に対し謝った」として、あたかも千佳子さんに非があったように自己弁護する。そしてその文書の最後をこう締め括った―。
【時効殺人男(70代)の言い訳文書より】
「どのような状況や理由でも、殺害したことは絶対に許されない。誠に申し訳なく、大変なことをしたと深く反省しております。誠に申し訳ありませんでした。」
【千佳子さんの弟・石川憲さん】
「このぐらいあるんですね、厚さにしたら1センチくらい。でも、私どもの遺族に対して『申し訳ない』っていうのは4行ですよ。たかが4行ですよ!」
【ナレーター】
この文書の存在を知った弟の憲さんも憤りを隠さない。
【千佳子さんの弟・石川憲さん】(記者会見にて)
「時効に向って逃げ通せば無罪放免、普通の暮らしができるっていうゴールラインを定めてあげているんですよ、国は。そんなおかしなことないと思うんですよ。」
【ナレーター】
両親は、千佳子さんの行方が分からなくなってから殺害されていた、という事実を知ることなくこの世を去った。(1月 母・ツエさん 享年90 が死去。家族が気遣って、千佳子さんの死を伝えてなかったという)
残された二人の弟が姉の無念を晴らすために戦い続けてきた。そして今、控訴審が終結し判決を待つ。時間の壁が再び被害者側に立ちはだかるのか、それとも・・・。
【アナウンサー・赤江玉緒さん】(スタジオにて)
「ものすごく腹が立ちますね。この陳述書ですか、これ?」
【アナウンサー・小木逸平さん】
「はぁ、溜め息ばかり出ますけれどもねぇ・・・。言い分ですが、ちょっと紹介するのも嫌なぐらいですけども。『亡くなった千佳子さんの霊が私に“ごめん”と頭を下げた』『罠にはめられたと思った』、木場さん、これを聞いて遺族の方のねぇ、もう・・・。」
【千葉大学特命教授・木場弘子さん】
「本当に亡くなった後も逆撫でするようなことをしますね、この文書って。」
【アナウンサー・小木逸平さん】
「これ本当に高村さん、本当に遺族の気持ち、如何ばかりかと。」
【リポーター・高村智庸さん】
「だから2回被害に遭っているわけですよね。殺されたっていうことと、それからこういうとんでもないこと言っているっていうことね。で、結局、死人に口なしですから。」
【アナウンサー・赤江玉緒さん】
「高村さん、自首したとはいえ、それは区画整理でその土地に入って来るから、まぁ遺体が見つかるので・・・。」
【リポーター・高村智庸さん】
「自分がね、住んでる所の床下に埋めて隠してたわけです、ずっと26年。この男、法律知っているんで時効は知ってたわけですよ。ところがいよいよ立ち退かなきゃなんない。あの、区役所に行ってすごい抵抗したんですよ。『もう年寄りだから立ち退けないんだ』と。要するにばれるのが嫌だった。ところがどうしても立ち退かなきゃなんない。その辺りの人みんな引越したっていうんで、引っ越した時にばれるんで、いよいよ自首したわけです。
それでその経緯を見ますと、78年(8月14日)に石川千佳子さんが突然姿を消しちゃう。だから家族は北朝鮮の拉致かもしれないというんで特定失踪者に名前を連ねていた。で、ずーっと時が過ぎて2004年(8月)、その立ち退きがあったんで元警備員は自首したんです。元警備員っていうのは同じ小学校の元警備員ですけどね、自首した。で、床下から遺体が発見されてDNA鑑定したところ間違いないということが分かった。
ところが殺人罪っていうのは当時は15年で時効だったわけですね。要するに刑事的に裁けないということがあって、遺族は翌年の2005年(4月)に『せめて損害賠償の請求をしよう』ということで民事訴訟を起こしたんですけれども、負けたんですね。その内容というのが『“損害賠償請求権”というのは20年を過ぎたらもう消滅しちゃうんだよ』という内容なんです。
それがこれなんですけれども(ボードで説明)、民法の724条、一番下のここを見ていただきたいんですけれども。
民法第724条 「除斥期間」
不法行為による損害賠償の請求権は
被害者又はその法廷代理人が損害及び加害者を
知った時から3年間行使しないときは
時効によって消滅する
不法行為の時から20年を経過したときも同様
“不法行為の時から20年を経過したときも同様”、要するに時効によって消滅する。『20年を過ぎちゃったらその損害賠償の請求権っていうのはもうなくなってしまうんですよ』っていうのが民法にあるんですよ。で、(千佳子さんは)1978年に殺害されてますから、2004年の段階ではもう26年経ってるんで『もうその請求権がない』という話なんです。
遺族・代理人側の主張っていうのは、殺しました、で、自宅に隠してたわけです、殺したことがばれるのがまずいんで自宅に隠してた、だから殺害と隠した行為は一連の行為だと(いう主張)。一連の犯罪行為って思いますでしょ?誰もが。
ところが『殺害がここ(78年)だからダメよ』っていう判断だったんですけども、遺族側としては、『それはもう一連の一つの行為なんだから。その間(26年)誰も知らなかった、犯人しか知らなかった。ここで(2004年)初めて分かったわけだから、この隠した行為も含めてこの時(2004年)をこの所謂計算する出発点にすべきだ』と。“起算点”って言うんですけども、結局20年っていうのはいつからいつまでのことを言うのか?っていったら、『ここ(2004年)から計算すべきだ』というのが遺族側の主張なわけですよ。」
【週刊朝日編集長・山口一臣さん】
「まぁ主張っておっしゃいますけど結局ね、法律っていうのは世の中の得心させるシステムに過ぎないわけじゃないですか。ある種の手段とかね。これはやっぱりどう考えても人を殺した人がですね、何の処罰も受けずに普通に暮らしてるってこと自体が公序良俗に反する、おかしいわけで・・・。」
【ジャーナリスト・大谷昭宏さん】
「よく最高裁の判決を読んでいくとですね、これを放置することって著しく社会正義に反するっていう判断を下して、逆転の判決出したりすることあるんですね。こういうケースこそ、こんな男をそのままにしておくということは著しく社会正義に反するということであって、何もその法律をガチガチに考えて、どんなに市民社会が不便であろうと法律が優策だと言う考えはおかしいと思うんですね。
これで考えれば、確かに殺害は78年です、だけど死体遺棄という状況というのは、(床下を)開けてみて死体遺棄だった、というのがずーっと継続してるわけですね。つまり、あんな冷たい床下の中に20年以上も置かれてたということから言えばですね、遺棄して弔わなかったって犯罪行為は継続してるわけですよ。だから殺人はともかくとして、死体遺棄について継続してたんだという判断を下せばですね、解釈できるはずなんです。
そういう主張なさっている弁護士さんもいるんですよ。であるとすればね、あの一部除斥期間を排除して考えている判決だって出てきているわけですね。」
【リポーター・高村智庸さん】
「あの、この遺族側の主張が身勝手な法律違反の主張なのか?っていう問題が一つあると思うんですよ。ところが最高裁の判例で、2004年には例えば筑豊のじん肺訴訟とか、2006年B型肝炎の予防接種で被害を受けた人たちのために、この20年の除斥期間ではない、注射を打った時とかじん肺を吸った時が出発点じゃなくて、被害が出た時が出発点・起算点にすべきだって、これ最高裁の判例でもあるんですよ。もちろん除斥期間としてダメだって認めない判例もありますけども、こういう判例も出てるんですね。
だから身勝手な勝手な主張してるんじゃなくて、そういう捉え方、さっき大谷さんおっしゃった正義が行われているか?公平か?っていうところを考えていただきたいと思います。」
【ジャーナリスト・大谷昭宏さん】
「これはやっぱり時効の概念っていうのは、あの人生わずか50年と言われた時代にですね、もう20年も経ったんだからとか、殺人であれば15年も経ったんだからということと、それから証拠はもう散逸してて新たなことは出来ないでしょうと。今はDNAを含む、これだってDNAで被害者が分かったわけですから、やっぱりこの民法の時効という除斥期間という考え方はもう改めるべき時期にきていると思います。」
【アナウンサー・赤江玉緒さん】
「本当にそうですよね。」
【週刊朝日編集長・山口一臣さん】
「これはどっちが正義か考えればもう明らかですよね。」
【ジャーナリスト・大谷昭宏さん】
「損害賠償の権利認めといて、相手が分からなかったらどうしようもないと。分かった時には時効ですって言われたら、誰が考えたって・・・。」
【リポーター・高村智庸さん】
「だから(この事件の損害賠償は)いつできるんだ?って話ですよ。」
【ジャーナリスト・大谷昭宏さん】
「そうでしょ?」
【リポーター・高村智庸さん】
「損害賠償請求、これできないんです。(犯人が自首して事件が)分かった2004年になって初めてできるんですよ。」
【アナウンサー・赤江玉緒さん】
「で、(犯人は)相変わらず悔いる姿勢も見えずに身勝手な言い分を・・・。」
【リポーター・高村智庸さん】
「まぁ年金もらって普通に生活してますよ。」
【同志社大学教授・村田晃嗣さん】
「『被害者が謝った』なんてひどいですよねぇ・・・。」(一同溜め息)
【ジャーナリスト・大谷昭宏さん】
「こういう奴ほど社会保険庁は支給もれやってくれれば。」
【アナウンサー・赤江玉緒さん】
「これね、逃げ得は許せないですよ、はい。」
*26年前の殺人に法の壁 高村智庸の「ワイドショー事件簿」より
http://www.news.janjan.jp/column/0610/0610132681/1.php
終わり
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