2007年10月30日

3/31 第16回藤沢市民集会 惠谷治さん(ジャーナリスト)

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*写真はあおいのママの撮影です。(左から横田拓也さん、ジャーナリスト・惠谷治さん、北朝鮮難民救援基金理事長・加藤博さん)

*講演要旨レポートです。聞き取りに間違いやカン違いの可能性もございます。どうぞご了承ください。講演は約23分間でした。(主催者より掲載許可をいただいております)

【惠谷治さん・ジャーナリスト】
 惠谷です。座らせて話をさせていただきます。今、加藤さんが指摘された内容と私の情勢認識が180度違いますけれど、お話したいと思います。

*3/31 第16回藤沢市民集会 加藤博さん(北朝鮮難民救援基金理事長)
http://aoinomama13.seesaa.net/article/62372846.html

 この六者協議というものをどう考えるかという時にですね、実は六ヵ国協議が行われている間、私は韓国におりました。韓国の論調は加藤さんがお話されたのとまったく一緒です。「ブッシュは譲歩した、我々は勝利した」と韓国左翼政権、あるいは左翼マスコミはもう大騒ぎです。

 それでまず六者協議の合意に至るまでの経過を簡単にお話したいと思います。この合意に至る前提である2005年9月の六者協議の共同宣言、その直後にBDA、バンコ・デルタ・アジアのいわゆる制裁が始まりました。この制裁というのはどういうことかと言うと、「その銀行の口座に出入りする金が怪しい金である、ついてはそういう金を預かっている銀行は取り引き停止ということにするぞ」という懸念指定だったわけですね、この2005年9月の段階では。「懸念がある」というだけで取り引きが停止された。この停止はバンコ・デルタ・アジア自身が行ったわけで、アメリカはいわば脅したという状況です。

 しかし現実的にはもう口座取り引きができなくなって、北朝鮮は慌てたと。その数日前には「核の完全廃棄に合意する」というサインをしたにもかかわらず、アメリカがそういうことをしたので「六者協議には出ない」ということで、それから2006年7月にミサイル発射がありました。その少し前、2005年10月に警察庁・警視庁は科協・在日本朝鮮人科学技術協会というものをターゲットにガサ入れをやったと。これはいわば技術制裁と言いますか、「ミサイルあるいは核を開発させるその支援を科協がしている」ということで提訴をしました。

 ですから2005年の9月から10月にかけて日米が金融および技術で北朝鮮を追い込んだ。その回答が金正日は暮れに抵抗してミサイルを発射しました。このミサイルもテポドンは失敗してその他は成功、7発のうち6発が成功しました。この6発はすでに実践配備している朝鮮人民軍管轄のミサイルです。これはすべて成功というか通常に設計通り飛んだと。その中には日本をターゲットにしているノドンというものが含まれました。しかしアメリカに届くスカッド、アラスカに届くテポドン2号というのは失敗しました。

 そのミサイル発射によって日本独自の経済制裁を行ったと。で、アメリカに届くミサイルが失敗したがゆえに、金正日は次なる手を考えたのが地下核実験です。

 2005年の2月に北朝鮮は核保有宣言をして「我々は持っている」と口だけは言っていました。しかしミサイルがもし成功していれば、アメリカに届くミサイルができれば、その宣言で「アメリカに対するミサイル攻撃が可能になる」とこう大宣伝ができたはずです。そうするとアメリカの民主党の議員あたりは「やっぱり米朝に二国間協議をすべきだ」といったような論調が出たかも分かりませんが、とにかくテポドン2号は失敗しました。

 それで核実験はやったところがこれもまた見事に失敗しました。ある解説者が言っていましたが「核を持ってなくて、通常爆弾を大量に爆発させたんじゃないか」っていう程度の爆発力しか発揮できませんでしたが、これは間違いなく核実験でした。この核実験によって今度は国連制裁決議が行われています。

 とにかく北朝鮮はどんどん追い込まれていく。それ以前も大変な状況で皆さんもご存知の中で制裁が次々とかかっているのが現状です。そうした中で去年の12月に一度六者協議に復帰しましたが、結果的にこの2.13の六者協議の合意が出ました。これももっと一つ言えば、その間に11月のアメリカの中間選挙がありました。これによって共和党は負けて、ブッシュ大統領はある程度の転換を余儀なくされたことは事実です。

*第5回六者会合第3セッションの概要 外務省より
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/n_korea/6kaigo/6kaigo5_3g.html

 さて、この六者協議の中で初期段階という、つまり「寧辺(ヨンビョン)の核開発センターの施設を凍結すると5万トンの原油をやる」と、しかも「60日以内に実行しろ」という合意があり、「核を完全無力化すれば100万トンもやる」という合意でした。加えて日本政府は「拉致問題が解決しない以上、一切のエネルギー支援はしない。それでいいですね」とモスクワも北京も納得させた上でサインをしたわけです。それを何故か「バスに乗り遅れる」「日本が孤立化している」とか、どうしてそういう解説が出てくるのか私には分かりません。見事な日本の外交勝利ですよ。「日本の外交の孤立化」とか解説する人は、そうでなければ「日本は対米従属外交」だと非難するに決まっています。これは見事な近年にない外交的勝利だったと私は思います。

 ではブッシュ大統領が変節したのか。確かに変節しています、ある意味。元々は「完全に廃棄しない限りは一切の援助をしない」、それを「2ヵ所の施設を止めれば5万トンはやる」と。この2ヵ所の施設を止めるというのは、1994年の米朝枠組み合意と同じことなんです。その時は50万トンを何年にも渡って結果的に400万トンをタダ取りされました。

 しかし今回は「5万トンでどうだ」と言ったら、金正日は「OK」を出しサインをしたと。しかし60日以内にはたぶんできないでしょう。金正日はその5万トン、10年前は50万トンのところをプラス400万トンのことを考えると、80分の1でサインをしております。それぐらい追い込められている。

 しかし一方でバンコ・デルタ・アジアの問題があります。2500万ドル戻さなくちゃいけない、これで「アメリカは譲歩した」と、とんでもない認識不足です。先ほど言ったように、2005年の9月には「懸念先である」と指定したんですね。今回は間違いなく「その行為に加担した」と断定しました。それで「後は銀行の判断に任せる」とアメリカは逆に投げた。ですから以前より指定は強化されました。これはどういうことかと言いますと、問題は2500万ドルじゃないんです。この2500万ドルであれいくらであれ、北朝鮮と取り引きをした銀行はアメリカからそういう指定を受けて、為替が取り引きができないんです。

 ですから、今この2500万ドルがまだ手元に届いてないからと協議に参加してない北朝鮮の問題は何かと言いますと、その2500万ドルをどういうかたちで北朝鮮に渡すかといった時に、中国銀行経由で渡す、ところがバンコ・デルタ・アジアはその2500万ドルを自分の銀行経由で北に回したら「汚れた金を扱った」としてアメリカからまた指定を受ける可能性がある。それがゆえに未だに北朝鮮に2500万ドルが渡っていない。逆に言うと北朝鮮はもう「それをもらうまでは一切交渉に出ない」というのが現状です。つまり5万トンでも欲しいのに、それも「首領様の4月15日(金日成の誕生日)までに何とか手に入れば」ということで、あの時点で「60日」ということでサインをした。しかしアメリカのブッシュ大統領は「2500万ドルくらいくれてやれ」と。しかし「完全な指定先に決定しろ」というかたちで今終わっています。

 もう一つの問題は、その文書の中で8項目ぐらいあったと思いますが、その最後の方に「朝鮮半島の平和体制について協議を開始する」とあります。この平和体制、つまり「朝鮮戦争休戦状態から平和条約締結にもっていく」という部分を、韓国の今の盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権はそこにスポットを当てて、「もう米朝は焦りでも国交正常化を果たすんではないか」というプロパガンダをやっています。

 私もソウル新聞っていう韓国の、これは政府系と言われますが、その記者に「米朝が国交正常化をしたら日本はどうするんですか」という質問を受けました。米朝が国交正常化をするわけがないじゃないですか、今の状況では。そういう認識もなく、ただただ平和ムードを煽って南北統一に向けてと言いますか、逆に言えば北主導の赤化統一に向っている、ということです。

 ポイントですが、この六者協議で金正日がサインしたのはもう様々な制裁がかかっていて、その中で唯一、金になるのは韓国です。ところが韓国は去年の10月の核実験以降支援を停止していましたが、この「支援再開のために何かきっかけが必要だ」として、これが六者協議の合意なんです。その合意に韓国は「核問題は100万トンで無力化になる、次は米朝の国交正常化だ」と「日本は拉致で騒いで日朝は遅れをとる、バスに乗り遅れるぞ」という風潮です。

 しかし先ほど言ったように日本はお金を出さない。そうなるとバスに乗り遅れるんじゃなく、バスは待っていて、日本が乗り込むまで発車できないんです。ですから何も問題ないのを「孤立化」だの「ブッシュの変節」だの、ここに拓也さんいらっしゃいますが、ブッシュ大統領は早紀江さんにお会いした時のことは絶対忘れてないし、拉致を絶対に置き去りにしない。それをこうブッシュ大統領が変身したようなかたちでどんどん解説が出てくる。これはまったく誤った見方です。

 まだ話はあるんですが、拉致に関して言います。拉致問題をどうするかといった時に、よく言われる「拉致は日朝の二国間問題」だと。ところがもう皆さんもお分かりのように二国間の問題ではありません。最低12ヶ国の犠牲者が出ています。拉致被害者が出ていますし、プラスその被害状況がどんどん明確に証拠が出て、その家族たちが名乗りをあげています。この拉致問題を解決するには拉致の国際化を広げていくことが大事で、ルーマニアでも弟さんが名乗りをあげました。またタイあるいはマカオのこういう方々と協力して話を盛り上げていくことです。

 実は2月に中国で社会科学院の人間と話をしたんですが、彼らは中国人、当時はマカオでポルトガル領でしたが、マカオが中国人が拉致された事実関係も知りません。「えっ、そういうことがあったんですか?」と言うぐらいですね。これを上手くもっていかないと、「13億のうち1人や2人、そんなものはどっかに行っているだろう」というような認識があるのです。

 ですから「大中国が北朝鮮工作員の不法侵入を許して、自国民をこっそり連れて帰るようなそういうことで面子が保てるのか?」という言い方で中国の大使と話しをし、資料を渡してきたんですが、そういうかたちで中国も「とにかく日本は二言目には拉致だ拉致だとうるさい」という言い方を変えさせていかなくちゃいけないし、事実、温家宝(おんかほう)首相も日本に来て、前とはトーンの違った言い方をしています。ですからそういうかたちで拉致問題を国際化し国際世論を強めていくべきだと思います。

 もう一点、韓国で朝鮮戦争時の拉致問題があります。8万3千人ほどがリスト化された問題です。私もその活動している事務所には何年も前から行っていたんですが、正直を申しまして、戦争中だから色んなことがあるだろう、それを拉致とひとくくりしていいのだろうかと、その事務所で話しを聞いた時に思いました。

 ところが今年また行ったんですが、朝鮮戦争は1950年の6月25日に始まりましたが、その数ヶ月前に金日成のサインで「南から50万人の人間を連れて来い」という“拉致指令命令書”が発見されました。つまり朝鮮戦争の開戦理由の一つは「南の優秀な人間をとにかく北に連れて来る」というのが戦争目的でした。その証拠が発見されまして、実際8万3千人のリスト、名前が出身も含めて分かっているんですが、その統計を整理してみると男がほとんどで、プラス若い人。職業がいわゆる技術者・知識人、一方でまったくのその洩れというかそういう方々以外はほとんど拉致されていない。

 その被害家族とのインタビューを事務所をやったのですが、とにかく人民軍が来て路地に入って来て連れて行く。つまりもうすべて北朝鮮でいうところの人定了解が済んでいた。ターゲットを絞って拉致して行った。それは金日成の命令は50万人で、現在8万3千人の被害が明確になっています。

 拉致は朝鮮戦争以前からあった。私も参加していますが、特定失踪者問題調査会では、朝鮮戦争前後から失踪者のことをリスト化しています。

 やっぱり金正日が3号庁舎を握った1976年以降、金正日の指令によって拉致されている。私はそれ以前はどういうシステムで拉致が行われたのかよく分かりませんでした。まだそのシステムは分かりません。指示・命令系統、あるいは実行機関についてはこれから研究の課題ではあるんですが、「金日成が1950年に拉致指令書を出した」ということが今回分かりました。ですから北朝鮮の歴史はイコール拉致の歴史、ということも言えるんではないかということをお伝えして、とりあえず私の話を終わりたいと思います。(大拍手)
posted by あおいのママ at 06:17| 千葉 | TrackBack(1) | '07 3/31 第16回藤沢市民集会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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