*10/7 テレビ朝日「サンデープロジェクト」緊急分析!
大統領と総書記 〜南北首脳会談 水面下暗闘の真相〜(1)
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続き
南北首脳会談知られざる真相 B金総書記、突然の提案
〜7年前との重大差異
【ナレーター】
今回の盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領の訪朝で、2日目の午後に行われた首脳会談冒頭にいきなり金総書記がこう切り出した。
【北朝鮮・金正日総書記】10月3日午後(訪朝2日目)
「一日(滞在を)延ばすことを提案します。今日の予定を明日に延ばし、明後日の朝に帰られてはどうですか?」
【ナレーター】
何と突然、滞在を一日延長するようにカメラの前で言ったのだ。これに対し盧武鉉大統領は―。
【韓国・盧武鉉大統領】
「私よりも警護や儀典の担当者と協議しなければなりません。」
【北朝鮮・金正日総書記】
「大統領が決意できませんか?自分で決意すればいいでしょ?」
【ナレーター】
即答できない盧武鉉大統領を揶揄するように畳み掛けた金総書記。結局、会談の最後で滞在延長の提案は取り下げた。この滞在延長の提案自体、考えられないものだという。
【ジャーナリスト・池東旭(チ・ドンウク)氏】
「普通常識だったらね、一国のトップが勝手にそういうようなスケジュールを変えるなんてあり得ないから、そんなこと口に出して言わないけれども、彼はそういうような外交上の常識とかプロトコル(外交儀礼)を全然無視するわけなんですよね。」
【ナレーター】
確かに大統領の訪問日程を訪問中に変更することは通常はあり得ない。しかし、似たような日程変更の提案が実は7年前にもあった。7年前(2000年6月13日)、空港での感動的な初対面の後、金大中(キム・デジュン)大統領と金総書記は最初の会談に臨もうとしていた。
しかしカメラが頭撮りだけ済ませて二人の前からいなくなると、話す内容は途端に厳しくなった。金総書記は、当時ソウルで北朝鮮国旗を掲げた学生が逮捕されそうになっている、という話を持ち出し抗議を始めたという。当時、随行者に取材した記者はこう証言する。
【中央日報記者(当時)・鄭昌鉉(チョン・チャンヒョン)氏】
「(金総書記は)『このような雰囲気で会談して何の意味があるでしょう。我が国の大勢の人々に歓迎されたことに満足されて、このままお帰りになってはいかがでしょうか』(と言った)」
【ナレーター】
何とまともに会談をしないうちに「金総書記は大統領にこのまま韓国に帰るように言った」というのだ。しかもこの後、首脳会談を大統領が滞在中にやるかどうか金総書記側はまったく連絡を入れず、丸一日放置した。これで金大統領は大いに焦ったという。
【中央日報記者(当時)・鄭昌鉉(チョン・チャンヒョン)氏】
「万が一(金総書記が)出てこなかったら、という焦りを常に持っていました。金大統領は(おいしい)冷麺の味を『砂をかむようだった』と言った。」
【ナレーター】
その昼食をとっていた午後1時50分頃、突然金総書記は「2時に会う」と通告してきた。2時までわずか10分しかなかったため韓国側は大慌てになり、午後3時に延ばしてもらったという。
「会談をやめて帰国したら」とまで言われても金大統領は怒らず、むしろ焦ったのは何故か?それは金大統領が個人的な野望を秘めて首脳会談へ臨んだからだ。金大統領の部下であった崔圭善(チェ・ギュソン)氏は、大統領が自分に語った言葉として、こう述べている。
【崔圭善((チェ・ギュソン)氏】VTR
「(金大統領は)『南北関係を解決したらノーベル平和賞ももらえるだろう。その時も君が一役買ってくれ』」
【ナレーター】
金大統領の野望は、初の南北首脳会談で成果をあげ、ノーベル平和賞を受賞することだった。そのために北朝鮮が要求する4億5千万ドルの不正送金まで行われた。それでも訪朝前日(2000年6月12日)、北朝鮮は「会談を一日延期する」と通告。その理由も「金だった」と池氏は言う。
【ジャーナリスト・池東旭(チ・ドンウク)氏】
「北に対して送金がですね、何かアドレスが間違って一時遅れたということなんです。だから北の方は腹を立てて延期したっていうのが真相だったんですよね。」
【ナレーター】
ここまで首脳会談へ野心を秘めた金大統領を訪朝初日(2000年6月14日)、わずかな時間会談しただけで一日連絡せず焦らせた後、金総書記はようやく姿を現した。
【韓国・金大中(キム・デジュン)大統領】VTR
「わざわざお越しいただいて・・・」
【北朝鮮・金正日総書記】
「いや、昨日約束した通りでしょ。」
【ナレーター】
では何故こんな揺さぶりを金総書記はかけたのか?それはこの後の会談で北朝鮮にとって最重要議題が控えていたためだ。会談に同席した黄(ファン)氏は言う。
【黄源卓(ファン・ウォンタク)氏】大統領府外交安保首席秘書官(当時)
「統一問題を議題とすることをまず金総書記に提起しました。(金総書記は)『私たちに注目している人たちに素敵なお土産を渡したい。“高麗連邦制統一案”をお土産に出すのが望ましいと思う』(と話した)」
【ナレーター】
“高麗連邦制統一案”とは金日成主席が1980年に提唱したもので、南北同数の代表者などからなる統一政府を作り、それが政治・国防・外交などを決定するとされる。北朝鮮側は一枚岩なので韓国側の親北勢力を加えれば、数の上で北朝鮮が連邦国家の実権を握るため北朝鮮にとってぜひ実現したい案であり、韓国には受け入れがたい案だ。
これに対し金大中大統領は、はるかにゆるい“国家連合制案”を出した。政治・軍事はそれぞれの国が握り、南北連合首脳会議を設立し、平和共存体制を確立するという案だ。
二つの案をめぐって両者は対立。すると金総書記はまた会談中止を口にし、揺さぶりをかけたという。
【中央日報記者(当時)・鄭昌鉉(チョン・チャンヒョン)氏】
「金総書記は『会談を止めましょう』と言って席を立ちましたが、(再び戻ると)譲歩案を出し、会談の突破口が開かれました。」
【ナレーター】
最終的に金総書記が韓国側の案に近いゆるやかな連邦制案を提示し、両案の共通性に沿った方向で統一を志向する、ということで合意。これは金総書記の揺さぶりを金大中大統領がしのぎきった事例として評価されており、7年前の首脳会談で最も真剣勝負が繰り広げられた議題だった。
【ジャーナリスト・池東旭(チ・ドンウク)氏】
「金大中はもう海千山千でしたが、その彼でも北へ行ってあれほど北の口車に乗せられて帰って来たのに、まして盧武鉉がそのような修羅場をくぐった経験はあまりないんですよ。」
【ナレーター】
真剣勝負もあった7年前の会談と違い、今回は「韓国大統領選で与党候補を勝たせるため」という目的が見え見えのため、南北が激しくぶつかり合う場面はほとんどなかった。あの金総書記の滞在延長提案を「7年前とは違いカメラの前で盧武鉉大統領の反応を試しただけ」という見方も出ている。韓国の保守派ジャーナリストは言う。
【ジャーナリスト・趙甲済(チョ・カブチェ)氏】
「金大中大統領が訪朝した時は金総書記はもてなし、晩餐会も主催しました。ところが今回、金総書記は晩餐会も出席せず、盧武鉉大統領を完全に下に見ていました。盧大統領もそれに抵抗しなかったため、韓国国民の怒りを買ったのです。」
【ナレーター】
確かに今回の晩餐会では一度も金総書記は出て来なかった。盧武鉉大統領は金総書記がいない席上で金氏の長寿を願うスピーチをした。
【韓国・盧武鉉大統領】VTR
「我々の金正日総書記の健康と長生きを(願います)」
【ナレーター】
7年前の首脳会談では金総書記は晩餐会を主催し、金大中大統領をもてなした。また2年前の胡錦濤主席(中国)の訪朝でも金総書記は晩餐会を主催しもてなしていた。(2005年)「その違いは歴然」だと言うのだ。
結局、おととい(10月4日)交わされた南北首脳宣言では、「朝鮮戦争の終結に向けた当事国会議の開催」や「北京オリンピックで統一応援団を作る」ことなどが発表された。しかしその直後、オリンピック問題でも南北の温度差が明白になる場面があった。
【韓国・金正吉(キム・ジョンキル)大韓五輪委・委員長】VTR
「(南北)統一チームを結成し、応援団も一緒に行くことで合意されたのでは・・・。」
【北朝鮮・金正日総書記】
「合意したのは応援団だけです。」
【韓国・盧武鉉大統領】
「私は統一チームを作る、と理解していたのですが・・・。」
【北朝鮮・金正日総書記】
「選手たちは北京に早く到着させて―。」
【韓国・金正吉(キム・ジョンキル)大韓五輪委・委員長】
「いや、選手たちがそれぞれ行くのは結構ですが、統一チームで・・・。」
【北朝鮮・金正日総書記】
「(統一チームは)合意できなかったと聞きました。」
【ナレーター】
こうしてほぼ一方的に北朝鮮ペースで終わった今回の首脳会談。宣言には「首脳同士が今後随時会談する」という文言もあるが、これも「首脳会談はこれからすべて平壌で行うことにお墨付きを与えた」と池氏は指摘する。
【ジャーナリスト・池東旭(チ・ドンウク)氏】
「今見ても、金正日は自分の国に居ても出迎える場所も転々と変える人がね、南に来るわけが全然ないんですよね。そうすると、この次からトップ会談開くのは結局こちらの大統領が就任する度に北に“参勤交代”じゃないけど頭下げに行かなきゃいけないんじゃないか、という問題が出てくるわけなんです。」
南北首脳会談 盧武鉉大統領誤算と失敗
【アナウンサー・寺崎貴司さん】(スタジオにて)
「南北首脳宣言の要旨はこの通りです。重村さん、『朝鮮戦争の終結に向け3カ国または4カ国が首脳会談』と一番上にありますが、これはどういう意味ですか?」
南北首脳宣言(要旨)
・朝鮮戦争の終結に向け3カ国または4カ国が首脳会談
・黄海平和協力特別地帯を設定
・南北を相互尊重の関係に転換
【早稲田大学・重村知計教授】
「はい、これは北朝鮮・韓国を除く3カ国を指要している、韓国は自分を入れて4カ国を主張したんだけれども、話が合意しなかったということですね。で、ただこれ実現は難しいと思うのは、アメリカはその核を放棄しない限りしないと言っている。さらにその終戦宣言をすると、在韓米軍撤退と、さらに米韓同盟解消を要求されるだろうというふうに警戒しているんですね。」
【アナウンサー・寺崎貴司さん】
「なるほどね。それからこの真ん中『黄海平和協力特別地帯を設定』、これはどういうことですか?」
【早稲田大学・重村知計教授】
「これはあの、いわゆる『共同漁業水域を設けよう』ということなんですね。カニ漁の季節になるとですね、境界線を越えて双方が相手の領域に操業するんですよ。それで衝突事件とか発砲事件があるので、それを避けるために『共同漁業水域を設けよう』と。ただ韓国側には、北朝鮮の艦艇がそこの水域で航行すると韓国・ソウルに近い場所ですので問題が起きているんですね。」
【女性アナウンサー】
「重村さんは全体としてどう評価しますか?」
【早稲田大学・重村知計教授】
「やっぱり盧武鉉大統領を格下に扱ったというふうにしか読めないんですね。いわゆる宣言が共同宣言になってないんですよ。“共同”という字が抜けているんです。で、前回は共同宣言なんです。これどういうことかと言えば、結局、金正日総書記が、盧武鉉大統領と金永南(キム・ヨンナム)氏の会談を承認した、という宣言になっているんです。それから盧武鉉大統領が狙った経済共同体構想は入ってないんですよね。ですから北朝鮮側の要求が通ったと・・・。」
【田原総一朗氏】
「これ、盧武鉉が(北朝鮮に)行ってプラス?マイナス?韓国では・・・?」
【早稲田大学・重村知計教授】
「まぁそれは世論調査次第ですね。どういうふうに国民が見るかという。」
【アナウンサー・寺崎貴司さん】
「これは韓国大統領選挙の影響っていうのはどういうふうにとらえますか?」
【早稲田大学・重村知計教授】
「あの、これは今取材続けていますので、今月中の特集でお伝えするつもりでしています。」
【アナウンサー・寺崎貴司さん】
「はい、今月末の特集でそれをお伝えするということで。どうもご苦労様でした。」
終わり



