*講演要旨をレポートにしました。約40分間の長いお話の上、非常に早口でしたので、聞き取りに間違いやカン違いのある可能性がかなりあると思います。どうかご了承ください。3回に分けて掲載致します。
*'06 12/17 拉致問題に関する講演会 河内隆さん(1)
http://aoinomama13.seesaa.net/article/56152685.html
続き
【河内隆さん・内閣官房拉致問題対策本部事務局総合調整室長】
それでは北朝鮮は何故日本人を拉致したのか?それと同時に、一体、一貫して否定し続けてきた拉致という問題を、2002年9月に何故急に認めるようになったのか?その点について触れさせていただきたいと思います。
北朝鮮はどうして日本人を拉致するのか?幼い子ども2人を残したまま拉致された田口八重子さんの場合、北朝鮮で工作員(スパイ)に日本語を教える仕事をさせられていました。これは田口さんに日本語を教わって日本人に成り済まし、韓国の旅客機を爆破した金賢姫(キム・ヒョンヒ)元工作員の証言によってはっきりとわかっています。このように北朝鮮に拉致された日本人は工作員の教育係にさせられている例もあります。
また、工作員が拉致した人のパスポートを取得して本人に成り済まし、“背乗り”(はいのり)と言いますが、大阪の中華料理店に勤めていた原敕晁さんの場合は、北朝鮮の工作員・辛光洙(シン・ガンス)に拉致をされ、後に辛光洙は韓国で逮捕され、裁判で原さんを拉致したことを認めているのですが、辛光洙は原さんに成り済まして韓国でスパイ活動をしているところを逮捕されたんです。
これ以外にも、北朝鮮は自分の国に必要な人材を日常的に拉致していると思います。ミサイル開発の技術とか元自衛官、色んな技術・情報の取得を目的としていると思われています。また北朝鮮は日本だけではなくて、数多くの韓国人も拉致しています。有名なのは映画監督・映画女優の方です。金正日総書記から北朝鮮の映画のレベルを上げるようにと指示を受け、その仕事をさせられた、というふうにも言われています。
それでは、こうした拉致というものを北朝鮮は何故急に2002年9月の時にあっさりと認めたのでしょうか?これには大きく言いますと2つの理由があると思われます。一つは経済的な苦境を打開するためであります。北朝鮮の経済は破綻しているので、日本との国交樹立を進めて援助の引き出しを狙った、というものであります。
北朝鮮は多くの国民が餓死するほど悲惨な状態というのはもう皆さんもよく報道で知っていると思いますが、この援助の引き出しの目的とは、北朝鮮の人民の悲惨さを救うためのものではありません。あくまでも送った物資というのは一般国民には届かないで、ほとんどが政府や党・軍の要人を潤すだけ、とも言われています。人道支援にはならない、返って拉致問題の解決を遅らせてしまうことになる。安全保障、そういう意味でミサイルの輸出や麻薬の密輸を活発させるために行う使うことになる懸念すらもあるわけです。
そして拉致を認めたもう一つの理由というのは、安全保障での面の苦境を打開するためであります。平成13年、アメリカのブッシュ政権が誕生して、前のクリントン政権とうって変わって北朝鮮に強い対応をすることになります。「北朝鮮は核兵器開発を放棄し、また、言うことを聞かない場合、軍事力をもって攻撃も辞さない」と表明し、このアメリカからの強い圧力をかわすために、北朝鮮は日本との関係改善を進めようとしたんだろうと思います。同盟関係が日米を分裂させて、その圧力を弱めようとした。
しかしこの2002年の段階におきましては、国交の樹立を進めるために援助を引き出しするためには、もはや拉致問題の解決を避けては通れない段階になっていました。まさに横田めぐみさんの実名報道によって拉致事件が明らかになったのが平成9年、しだいに拉致被害者の救出と真相究明を求める日本の世論が深まっていったからです。
「拉致はでっちあげだ」と北朝鮮は一貫して言っていたわけですが、日本の世論は納得しない中で、交渉の進展を本当の意味で進めていくためには「もう拉致事件を認めてしまう方が得策」だという計算が北朝鮮側に働いたのだと思います。だからこそ最高首脳である金正日国防委員長が劇的な演出をするかたちで、その場で首脳会談の場で謝罪をするという日本側の目をくらますような、そんなかたちで事態の打開を図ろうとしたのだろうと思います。
でも北朝鮮の犯したことのあまりの悲惨さ、そして調査のずさんさに、日本の国民の皆さんは怒りを沸騰させ、いわばその意味では北朝鮮の目論見は外れてしまった、ということになるのだろうと思います。
では、そうした北朝鮮というのは一体どういう国なのか?という点について、10ページを一瞬だけ見ていただきたいと思います。あまりこれについて時間は割くことできませんが、面積的には12万平方キロメートル、日本の3分の1のところです。そして朝鮮戦争の歴史についてお話しますと、これだけで30分になってしまうので省略致します。
左側の1983年10月のラングーン事件をご覧ください。ビルマ訪問中の韓国の全斗煥(チョン・ドファン)大統領一行が爆弾テロに遭遇、17人が爆死した北朝鮮によるテロ事件があります。そして1987年11月、大韓航空機爆破事件ということで、乗員乗客115人を乗せたバクダット発のソウル行きの飛行機が爆破されました。これは1970年代に金正日が実権を握り、韓国は徹底的に北朝鮮に対してスパイ摘発事件を講じたことがありました。北朝鮮は非常に情報収集が困難になってきたわけです。それで「情報収集は外国人ならしやすいだろう」と対南工作を活発化してきました。
そしてこの1987年、何故大韓航空機爆破事件になったかと言いますと、翌年の88年9月、ソウルオリンピックが韓国で企画をされました。いわば「ソウルオリンピックを妨害しよう」というかたちで、しかも日本人の蜂谷真由美ということで偽造旅券を(工作員・金賢姫に)持たせ、韓国の反日感情を煽るということも狙った、巧妙に仕組まれた工作活動が行われました。たまたまアブダブで降りた日本人の偽造旅券を持った不審者の内の一人、金賢姫(キム・ヒョンヒ)が自殺未遂で助かったがゆえにこのことが赤裸々に記されたことは皆さんもご存知の通りです。
そして11ページをご覧ください。政治・経済・軍事等々、要は金正日独裁体制、唯一の指導者です。そして軍を重視し、軍人を優遇する“先軍政治”という状況にあります。経済は依然として困難な状況でありますし、食料は配給制でしたが、今や一般国民への配給は事実上止まっていると言います。この冬をどれだけの方が乗り越えられるか、多くの餓死者が出てくるのではないか、ととらえられています。
乏しい資源を軍事に重点的に配分していますし、遅れている兵器なるがゆえに核・ミサイルの開発を進めている。「党や軍部はいい生活を送っている」と言います。テレビ番組や新聞報道では、国家を管理している、北朝鮮にとって都合のいい情報しか流さない。そうした中におきまして自由もない。テレビで皆さんも公開処刑の場面をご覧になられた方もあろうかと思います。おぞましいことが放映されていて、国民を監視しようとしている。最近では減少してきているとは言いますが、多くの国民が今なお厳しい国家体制の下、自由がなく苦しい生活を強いられている。
そんな国、隣人であれば町内会が様々な対策を講じる、あるいは警察に訴える。色んなことで対応し、また、引越しすることできます。でも北東アジアにおいて隣国において日本は引越しすることはできない。そういった状況の中で「付き合っていくしかないという厳しい局面にある」ということ、ご留意お願いします。
*北朝鮮関連資料1(概要・成立と歴史・最近の動向)
http://aoinomama13.seesaa.net/article/50258941.html
*北朝鮮(外務省各国・地域情報より)
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/n_korea/data.html
そして12ページ日朝平壌宣言をご覧いただきたいと思いますし、13ページには日朝間におけるモノ・カネの移動、ここで皆さんにご覧いただきたいのは、日朝間におけるモノの流れというのは輸出入共非常に近年減少してきている、ということであります。カネの流れも小さくなっています。ところが一方、中国と北朝鮮、北朝鮮と韓国との間は徐々に徐々に逆に増えてきている、という点についてもご留意していただきたいと思います。
*日朝平壌宣言
http://www.mofa.go.jp/mofaj/kaidan/s_koi/n_korea_02/sengen.html
*北朝鮮関連資料2(日朝間におけるモノ・カネの移動)
http://aoinomama13.seesaa.net/article/50345897.html
最終回(3)に続く
*'06 12/17 拉致問題に関する講演会 河内隆さん(3)
http://aoinomama13.seesaa.net/article/56844019.html
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