2007年07月19日

7/15 TBS「報道特集」最新型 ホログラム入りニセ1万円札

*7/15TBS放送の「報道特集」の一部を文字化しました。放送は約25分間でした。

国境の川で遭遇した「本物と全く同じでしょ」妖しい光を放つ謎のニセ1万円札。「これは非常に脅威ですよね」「通用しちゃう危険性はありますね」ついに破られた日本の偽造防止技術。「あっ、下地が見えてきました」その驚くべきカラクリとは?追跡730日、ホログラム入りニセ1万円札を独占入手した―。

独占取材! 驚異のニセ1万円札

【司会者・田丸美寿々さん】(スタジオにて)
 「続いてはこちらの1万円札です。ご存知のようにこの日本の1万円札には本当に精巧な印刷技術、そして様々な偽造防止の技術が施されているんですね。良く出来ています。実際、この新1万円札になってからニセ札の摘発は減ってきているようなんですが、あのドル紙幣の偽造で国際的な非難を浴びています北朝鮮が、ついにこの1万円札の偽造にも手を染め始めているようなんです。

 北朝鮮の円の偽造技術はどこまできているんでしょうか?そして番組で2年前から追ってきた事実をご覧いただきたいと思います。」

独占取材 光るニセ1万円札

【ナレーター】
 それは2年前(2005年)のことだった。北朝鮮事情に精通した中国人の情報提供者からある重大な情報が寄せられた。1万円札の写真が1枚。「北朝鮮製のニセ札」だという。私たちは中朝国境に向った。辿り着いた先は中国側の都市・延吉(エンキチ・'95年11月)。この町では北朝鮮製とされる“覚せい剤”や“ニセドル札”が闇ルートで売買されているという。

 中国と北朝鮮の国境を流れる川・豆満江(トゥマンガン)。向こう岸はもう北朝鮮だ。「抗日の女性英雄 金正淑(キム・ジョンスク・故金日成主席の妻)同志を見習おう!」(垂れ幕)

 枯れ草で偽装された塔の地下の中に北朝鮮の国境警備兵が住んでいた。川を渡る密貿易業者や脱北者は、発見され次第銃撃されるという。北朝鮮製とされるニセ1万円札も豆満江(トゥマンガン)を渡って来たのだろうか?

 私たちはニセ1万円札の実態を探るため、ある密貿易業者との接触を試みた。指定された待ち合わせ場所は町で一番大きな銀行の前。そこに現れたのは一人の中国人女性。自らを密貿易業者だと名乗った。人目のないホテルの部屋へ移動する。すると密貿易業者は懐から白い包みを取り出した。包みの中には折り目のない1万円札の束。

【記者】
 「あー、これは新品ですねぇ、全部新品です。これ何枚あるんだろう・・・?」

【ナレーター】
 その数、全部で12枚。一見本物かニセ札かわからない。透かしのようなものも見て取れる。密貿易業者は「この1万円札は北朝鮮で製造されたニセ札」だと主張した。さらに、ニセ札の取り引き現場を撮影したというビデオテープがあった。

 ビデオは北朝鮮と中国の国境の川・豆満江(トゥマンガン)から始まっていた。画面上が北朝鮮だ。やがてカメラは川の中に人影をとらえた。どうやら中国側に渡るつもりのようだ。一目散にカメラの方へと駆け寄る黒ずくめの男。

【密貿易業者】ビデオ映像
 「お疲れさまです」

【北朝鮮の男】
 「お待たせしました」

【ナレーター】
 この男、北朝鮮の偽造品を扱う運び屋だという。男はおもむろに紙の包みを取り出した。やがて真新しい1万円札の束が映し出された。その中の1枚の記番「BF017409U」この番号が私たちが入手した1万円札の1枚の記番号と一致した。

【密貿易業者】ビデオ映像
 「これはニセ札ですか?」

【北朝鮮の男】
 「そうだ」

【密貿易業者】
 「どこで手に入れたんですか?」

【北朝鮮の男】
 「平壌(ピョンヤン)だ。平壌にまで行って手に入れた。こうして見ても本物とまったく同じでしょ?見てよ!」

【ナレーター】
 果たして、この1万円札は本物か?それともニセ物か?私たちは鑑定を急いだ。鑑定を依頼したのは、偽造通貨対策研究所所長・遠藤智彦氏。国内外での偽札鑑定の実績を買われ、捜査当局からの鑑定依頼も少なくないという。

【偽造通貨対策研究所所長・遠藤智彦氏】
 「はぁー、ふぅーん、これはそうですねぇ、手触りというか厚みですね、質感、ここいらも本物と比べてそんなに遜色ないですから、本物と間違う可能性十分あります。良く出来ていますね。」

【ナレーター】
 さらに、細部に渡る鑑定が行われた。果たして、真偽の判定はいかに?

【記者】
 「本物でしょうか?ニセ物でしょうか?」

【偽造通貨対策研究所所長・遠藤智彦氏】
 「結論から言うとですね、偽造紙幣ですね。」

【ナレーター】
 鑑定の結果はニセ札だった。遠藤氏は「この1万円札はある部分が未完成」だという。

【偽造通貨対策研究所所長・遠藤智彦氏】
 「(ニセ札の)インクのですね、まぁ色、つまり出来栄えとしては非常に精度が高いです。ただホログラムはですね、これはそこは再現されてませんから、(ホログラムの)この部分、マテリアル的には紙ですから本物とは決定的にそこは違いますね。」

【ナレーター】
 2004年から新札に導入されたニセ札防止のためのホログラム。特殊なフィルム層で出来ている。本物は見る角度によってホログラムの色や模様が変化する。しかし、ニセ札のホログラムは見る角度を変えても色や模様は一切変化しない。偽造グループにはホログラムの再現は不可能ということか?しかし、遠藤氏は「安心はできない」と警告した。

【偽造通貨対策研究所所長・遠藤智彦氏】
 「ホログラムを再現する技術はもう偽造団が手に入れているんです。言ってみればその偽造団とこのお札(ニセ札)の偽造団が組んだら怖い、ということは言えますね。」

【ナレーター】
 それからわずか2年後、その脅威が現実のものとなった・・・。

脅威! 新手のニセ1万円札

【ナレーター】
 今年5月('07年)、ニセ1万円札に関する新たな情報を入手した私たちは、再び中朝国境地帯へ向った。中国側のある地方都市、ここではニセ物は何も偽造紙幣だけではなかった。町の露店に有名ブランドのコピー商品が並ぶ。

【記者】
 「あれっ?これはシャネルだ・・・。ルイ・ヴィトンのバッグなのにシャネルのマーク・・・」

【通訳】
 「フフフ、30元(約500円)」

【ナレーター】
 さらに、国外のDVDの海賊版も溢れていた。

 「この町で新手のニセ札が出回っている」、ある密貿易業者からの情報だった。彼らに面会を申し込んだ。1時間後、一人の中国人が現れた。連れて行かれたのは、個室のある喫茶店。ここで密貿易業者は自慢気にある物を取り出した。「北朝鮮から仕入れたばかりの最新のニセ札」だという。見慣れた1万円札が4枚。ところが・・・、よく見ると、紙幣の左下に光る物体―。

【記者】
 「うーん、これ本当に良く光ってるんだよね・・・」

【ナレーター】
 新手のニセ札とは、光るホログラム入りのニセ1万円札だった。

【記者】
 「まぁ確かに光ってるよ、これ。あの、北朝鮮では街で(ニセ札を)使っているんですかね?」

【密貿易業者】
 「ニセ1万円札は北朝鮮の裏社会で売られている。市場などには出回っていないよ。ニセ札は人脈がないと売買はできない。違法な商売をしている人だけがニセ札を使っている。」

【記者】
 「特にどんな商売の人?」

【密貿易業者】
 「街の違法両替商の女性たちがこのニセ札を使っている。北朝鮮の清津(チョンジン)で出回っている。」

【ナレーター】
 清津(チョンジン)は日本海に面する北朝鮮きっての貿易都市だ。北朝鮮製とされるニセの1万円札。その光るホログラムには驚くべきカラクリが隠されていた。

 1ヶ月後('07年6月)、中国から遠藤氏の元に問題のニセ1万円札が届いた。

【偽造通貨対策研究所所長・遠藤智彦氏】
 「これが・・・。ホログラムがちゃんと付いてますね。進化版ですね、これは。」

【記者】
 「日本の紙幣に、こういった偽造のホログラムが使われている、というケースは今までにあったんでしょうか?」

【偽造通貨対策研究所所長・遠藤智彦氏】
 「今までは、まずないです。」

【ナレーター】
 ホログラム入りのニセ1万円札。日本で初めてその存在が確認された瞬間だった。

【偽造通貨対策研究所所長・遠藤智彦氏】
 「下が本物で上が偽造です。」

【ナレーター】
 本物とニセ札のホログラムとを比べて見る。こちらが本物のホログラム。色の変化と同時に模様にも変化が見て取れる。しかしニセ札のホログラムは、色は変化するものの模様は一切変化しない。続いてホログラムの厚みはどうか?本物はおよそ0.11ミリメートル。

【偽造通貨対策研究所所長・遠藤智彦氏】
 「今度は偽造の方ですね・・・」

【ナレーター】
 ニセ物はおよそ0.18ミリメートル。ニセ札のホログラムは本物より倍近い厚みがある。顕微鏡カメラでホログラム部分を拡大して見ると・・・。

【偽造通貨対策研究所所長・遠藤智彦氏】
 「これ(ニセ札)はがれそうですよ。」

【記者】
 「浮いてますね、これ。影がもう・・・」

【ナレーター】
 よく見ると、ホログラムと紙幣の間に薄っすらと影・・・。

【偽造通貨対策研究所所長・遠藤智彦氏】
 「ほらっ、ね・・・」(ナイフでホログラム部分を削ぐ)

【記者】
 「あっ、下地が見えてきました。こういうホログラムはありえないんですか?」

【偽造通貨対策研究所所長・遠藤智彦氏】
 「ありえませんね、こんな、ほら・・・」(全部はがす)

【ナレーター】
 ホログラムの下から別のホログラムが顔を覗かせた。これに見覚えがあった。2年前('05年)、私たちが中朝国境地帯で入手したニセの1万円札。これと同じニセ札が今回も使われていた。偽造グループはホログラムに焦点を絞り、偽造技術の進化を図っていることが浮き彫りになった。

【偽造通貨対策研究所所長・遠藤智彦氏】
 「今回ですね、このホログラム付きの偽造(紙幣)がとうとう出てしまったという私は印象を持っているんですね。ホログラムのさらなる進化版が出るとですね、もうこれは非常に脅威ですよね。」

【ナレーター】
 ニセ1万円札に貼られたホログラム。その構造にもあるカラクリがあった。ホログラム研究の第一人者・森貞介氏を訪ねた。(日本プリンティングアカデミー)そもそも本物のホログラムは、どのような造りになっているのだろうか?

【日本プリンティングアカデミー客員教授・森貞介氏】
 「こういうふうにですね、見る角度で“10000”になったり“桜”になったり、そして“マーク”になったりと変化するのがこれがホログラムの特徴なんですね。」(図で説明)

【ナレーター】
 特殊なフィルム層に電子線を照射。1ミクロン(1,000分の1ミリ)程度の溝を等間隔に刻む。さらに溝の表面に様々な模様のパターンを描き上げる。すると、見る角度によって色や模様が変化するホログラムが完成する。

 この複雑な加工技術に対し、ニセ札は意外なホログラムを使用しているという。

【日本プリンティングアカデミー客員教授・森貞介氏】
 「(ホログラムは)市販されていますから、こういうもの(ホログラムのシート)をですね、部分的にこう大きさを切り抜いて(ニセ札は)貼ってあるっていう・・・」

【ナレーター】
 偽造グループは市販されたホログラムの中から本物とよく似たタイプを探し出し、ニセ札に使っていた。さらに、ホログラムの模様にも秘密があった。

【日本プリンティングアカデミー客員教授・森貞介氏】
 「こういう放射状のホログラムの箔に、“数字”とか“桜”のパターンを後から押してるというか、金型で押しているわけですね。」

【ナレーター】
 “10000”と“桜”のマークが彫られた金型の刻印。これを市販されたホログラムに押し付ければ完成。果たして、ニセのホログラムは誰の手によって造られたのだろうか?その手がかりをある場所で見つけた・・・。

ニセ紙幣の偽造組織は!

【ナレーター】
 ニセ1万円札の光るホログラム。果たして誰の手によって造られたのだろうか?実は中朝国境で目にしたコピー商品にも偽造されたホログラムが貼られていた。中国と北朝鮮の偽造グループ。両者は何か関係があるのだろうか?

 中朝間の密貿易に詳しい惠谷治(えや おさむ)氏は、ホログラムについてこう指摘した。

【惠谷治(えや おさむ)氏】
 「中国もある部分(ホログラム技術)では非常にご存知のように発達してしますし、『自分たちの技術を買ってもらおう』といったような動機で技術開発に励んでいる、というふうに考えています。」

【ナレーター】
 「中国の偽造グループが開発したホログラム技術を北朝鮮が買い取り、偽造紙幣に応用している」と惠谷氏は見ている。

 進化し続けるニセ1万円札の実態。その脅威はすでに現実のものになりつつある―。

ニセ1万円札 対策を急げ!

【司会者・田丸美寿々さん】(スタジオにて)
 「最近明らかになったあのダンボール入りの肉まんというのは衝撃的でしたけれども(7/15現在)、世界の偽物大国と酷評されます中国にはありとあらゆる偽物が溢れています。で、今日ご覧いただきましたホログラム、海賊版のCDやDVD、あるいはニセの身分証明書などに対応されておりまして、その技術はかなりのところまできているようです。

 ニセ札鑑定の専門家の遠藤さん、この中国の高度なホログラム技術と北朝鮮の紙幣印刷技術が合体した時に、その進化したニセ1万円札というのは大きな脅威になる、と警告しています。

 そうした中、日本ではこの7月からようやくニセ札の監視を強化するための専門部署を財務省の中に新設しました。専任の担当官を常設するポストとしては初めてだということなんですが、今のところ海外から持ち込まれた日本円のニセ札は確認されていないということです。」

(ディレクター 砂川裕さん 野沢周平さん 針谷勉さん)

終わり

過去のニセ札関連の記事です。(他局も含む)
 ↓ ↓ ↓
*'07 6/10 フジテレビ「新報道プレミアA」
 北のニセ札を見破れ! 下町・熱血エンジニアの戦い

http://aoinomama13.seesaa.net/article/44721485.html
*'07 6/10 フジテレビ「新報道プレミアA」ニセ札取引の瞬間
http://aoinomama13.seesaa.net/article/44534236.html
*'07 1/14 TBS「報道特集」
 北朝鮮に異変 蝕まれる独裁体制(ニセ札)

http://aoinomama13.seesaa.net/article/32283030.html
*'06 12/10 TBS「報道特集」“新型”偽100ドル札(1)〜(2)
http://aoinomama13.seesaa.net/article/32747619.html
*'06 10/1 テレビ朝日「サンデープロジェクト」
 北朝鮮ヤミ資金ルート(1)〜(2)
 
http://aoinomama13.seesaa.net/article/24809569.html
*'06 3/5 TBS「報道特集」北朝鮮ニセ札疑惑(1)〜(3)
http://aoinomama13.seesaa.net/article/14414118.html
posted by あおいのママ at 13:18| 千葉 曇り | TrackBack(0) | 報道番組テキスト | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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