*写真は'06 12/10「映像とシンポで語る北朝鮮」でのカチンの皆さんです。マイクでお話されているのは「在日カチン女性協会」のマリップ・センブさんです。(すべてあおいのママの撮影)
あおいのママとパパは、昨年の北朝鮮人権侵害問題啓発週間('06 12月10日〜16日)に、「映像とシンポで語る北朝鮮」の集会と「北朝鮮人権大使サミット」に参加しました。
その際、ビルマのカチン民族の皆さんが集会で人身売買の状況を訴えていました。娘さんが騙されて被害に遭い、未だに行方不明だと涙ながらに語っていたお母さんもいました。皆さんは民族衣装を身にまとって伝統舞踊を披露したり、手作りの品や小冊子等を販売して支援を求めていました。
10日の集会終了後、私たちと友人のSさんは、たまたま帰りにカチンの皆さんと少しお話する機会がありました。当日登壇された日本語が上手な「在日カチン女性協会」のマリップ・センブさんが通訳してくださったので、私たちはカチン州という地域や、若い女性がこのような拉致とも言える被害を受けていることを初めて知ったと話しました。そして「負けないで頑張ってくださいね、応援しています」と励ましの言葉をかけました。(それしか私たちにはできないので・・・)皆さんは「ありがとうございます」とおっしゃって、私たちの姿が見えなくなるまでずっと礼をしながら手を振りながら見送ってくれました。
2日後、12日のシンポジウムにも皆さんは参加していまして、その時にマリップ・センブさんから写真撮影やサイトへの掲載の許可をいただきました。(説明文は小冊子の一部を引用)だいぶ日は経ってしまいましたが、ご紹介致します。
*'06 12/10「映像とシンポで語る北朝鮮」で伝統舞踊を披露するカチンの皆さん。席にいる男性もカチンの方です。
*'06 12/12「北朝鮮人権大使サミット」会場ロビーで快く撮影に応じてくれました。(他の参加者と一緒にポーズ)

*販売されていたブローチとストラップです。
中国―ビルマ国境で起きているカチン民族女性の人身売買(Driven Away)
ビルマのカチン民族が住む地域で警戒すべき現象が深刻化しています。政府の失策が原因で貧困が悪化し、多くの若者が仕事を求めて地元地域を離れているのです。その結果、若い女性や少女が足跡を残さずに消えています。彼女たちは、中国人男性の妻として中国へ売られたり、騙されてビルマや中国の性産業で働かされているのです。地元カチン地区の研究者は2004年5月から8月にかけてインタビューを実施しました。この報告書はその結果をまとめたものです。
【年齢層】
報告書のために実施されたインタビューによると、被害女性が最も多いのは14歳から20歳の年齢層です。およそ3分の2の被害者がこの年齢層に属しています。4分の1は18歳未満でした。21歳以上で被害にあった女性たちのほとんども20代前半という若さです。
【人身売買の終着点】 中国人の妻として売られる
中国との国境沿いや中国へ売られた56件のケースのうち、半数のケースでは彼女たちが売買された目的は不明です。その理由は被害者の消息が不明であったり、売買成立の前に逃げ出したり助け出されたりしたからです。残りの半数のケースでは、ほとんどの被害者は中国人の妻として売られました。
何件かのケースは1992年まで遡って起きており、中国での花嫁不足は最近始まった問題ではないとわかります。この現象は近年増加傾向にあり、2003年には過去最大の件数に上りました。
妻となる女性を連れてきた引取り人に支払われる額は5,000元(625米ドル)から15,000元(1,875米ドル)までと幅があるようです。あるケースでは、中国人男性は彼の「妻」に彼女を買うため50,000元(6,250米ドル)支払ったと主張しました。
中国人の妻として売られたあとに逃げ出してきた女性たちは、彼女たちが経験してきたことの詳細をあまり語りません。それでも、夫たちは妻が逃げ出さないように行動を厳しく管理していたことは明らかです。
「私を買った男はいつも私を家の中に閉じ込めました。私は外へ連れ出してもらおうと、彼を喜ばせるために何でもしました。」(ケース10)
妻となった女性たちがどのくらいの家事をやらされていたのかはわかりませんが、子供を産むように期待されていたことは明白です。妻となってすぐの数ヶ月の間に逃げようとしなかった女性たちは、その期間に夫の子を産んでいます。
中国人男性の家族も嫁を「買う」ことに共謀しています。引取人から女性たちを引き受けにくるのは男性の母親たちであることもあります。しかし、あるケースでは女性が息子と強制的に結婚させられたと知った母親が彼女を家に帰すのに協力した例もあります。
「3日後、彼らは結婚式についての話をしました。私はとても怖かったですが、何も言うことができず神に祈っていました。もし神が存在するなら私を助けてほしいと思いました。そうすると中国人女性が私はどうしたいのかを聞きました。私はここに働きにきたわけではなく旅行にきただけで帰りたいといいました。彼女は私が売られたと知って私に同情しました。彼女は息子に私を家へ返すように言い、私の叔母が彼女から受け取った5,000元についても返還を要求しませんでした。私は本当に嬉しくて神に何度も感謝しました。」(ケース2)
このことは、多くの中国人家族が息子のために花嫁を「注文」はしていても、花嫁候補として来た女性が売られたのではなく中国人の妻になりたくて来たと思っている可能性を示しています。
*'06 12/12「北朝鮮人権大使サミット」でカチンの皆さんのために守る会代表の三浦小太郎さんが書いてくれた訴えです。「日本政府はビルマ軍事政権への支援をやめよ!」(会場ロビーで撮影)
カチン民族の歴史的政治背景
カチン民族は複数の少数部族で構成され、主にビルマの北東部に居住し、さらには中国やインドの一部地域にも居住しています。ビルマに住むカチン民族の数はおよそ100万〜150万人と見られています。伝統的に丘陵地帯に住む人々は焼畑耕作で生計をたて、かつては村や氏族単位での支配体制が敷かれていました。イギリス領ビルマ時代(1886年〜1948年)には、ほとんどのカチン民族居住地域が「辺境地域」として統治され、この時期にカチン民族の間にキリスト教が広まりました。
1948年のビルマ独立に伴ってビルマ北端部34,379平方マイルの山岳地帯がカチン州と制定されました。カチン民族はシャン州にも居住しています。
独立後、多くのカチン民族はビルマ中央政府による差別的政策に不満を募らせていきました。この不満は1961年のカチン民族武力抵抗運動を引き起こし、後に最も大きな民族抵抗運動の一つとされるカチン独立機構(Kachin Independence Organisation[KIO])へと発展しました。
十数年にわたる武力紛争が続き、高地に住んでいた多くのカチン民族が平地へと追いやられました。今日ではカチン州総人口の80%以上が平地地方に住んでいます。
KIOはビルマ軍事政府と1994年休戦合意を結び、一定地域において独自の行政権と軍備を持つ権利を認められました。ビルマ共産党の一部から派生し、カチン州と中国の国境地帯北東部で活動する新民主軍[カチン](the New Democratic Army[
Kachin][NDA-K])と1991年にKIOから分離しシャン州北部で活動するカチン防衛軍(KDA)も、それぞれ軍事政権との間で休戦協定を結びました。
残念ながら休戦合意は長期にわたる民族紛争を引き起こした根本的要因である政治問題の解決はもたらしませんでした。ビルマの他地域と同じように、カチン州の人々も軍事独裁政権の下で民主主義的権利である「自らの政府を選ぶ権利」を否定されています。
軍事政府は休戦合意を利用してカチン州での軍隊を増強させました。ビルマ軍の数は1994年から3倍にも膨れ上がり、50を超えるビルマ軍歩兵部隊がカチン州に駐在しています。ビルマ軍は特にKIOの軍事基地近辺で展開し、軍隊増強によって地元住民への負担も重くなる一方です。住民は軍人による土地の押収、強奪、強制労働や多くの人権侵害に直面しています。
カチンコミュニティーでの社会的・文化的性差(ジェンダー)
伝統的なカチン民族社会は男性社会であり、男性がコミュニティの政治的・宗教的な面で権力を握っていました。今日でもカチン民族コミュニティの長や宗教指導者はすべて男性です。
カチン民族の女性は結婚して、掃除・料理・育児といった家事全般をこなして夫に仕えることが求められます。多くのカチン民族の家族は昔のような自耕自給農家としてではなく、都市部や低地地方の村へと移住して生活しています。この事実によって女性は二重の負担を背負っているのです。家計のため男性も女性も外で働く必要がある上、女性はすべての家事もこなさなければなりません。
さらに、内戦によって多くの女性が大黒柱を失いました。男性の薬物依存やアルコール依存も深刻化しています。これらは女性が一家の唯一の稼ぎ手として負担を背負ってしまっている2つの要因です。
「家族の世話役」というカチン民族女性たちの伝統は、少女たちにも娘として両親や兄弟姉妹を支えなければいけないという強い意識を生んでいます。家計が苦しいとき、彼女たちは出稼ぎをしてでも家族を支えるため収入を得る義務があると強く感じます。そして少女たちは人身売買の危険に晒されていくのです。
カチン民族の女性達は結婚前には純潔であることが求められており、婚前交渉はコミュニティー全体を貶める行為だと考えられています。もし禁忌を犯したカップルが捕まった場合、女性のほうがより重い責任を問われるのが一般的で、コミュニティーを「浄化」して悪運を防ぐ儀式も行われます。それゆえ、人身売買の被害にあった女性や少女たちはその置かれた状況に関わらずコミュニティーに戻ったあとに彼女たち自身のモラルを問われることになってしまっているのです。
発行:在日カチン女性協会(KWAj)
東京都江東区塩浜2-12-13 第2大橋ビル401
Tel&Fax:03-5606-3963
Email:kwajapan@yahoo.com
【'06 12/12 北朝鮮人権大使サミットの最新記事】





