2007年03月05日

'06 12/10 映像とシンポで語る北朝鮮 RENK・高英起さん(第1セッションにて)

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*写真はすべてあおいのママの撮影です。

*チョンリマ(千里馬)―社会主義朝鮮の記録― 1964年度作品
http://aoinomama13.seesaa.net/article/34007322.html

*撮影したビデオカメラより文字化しました。(撮影許可を得ております)

*'06 12/10 映像とシンポで語る北朝鮮 脱北者・榊原洋子さん(第1セッションにて)
http://aoinomama13.seesaa.net/article/34701204.html

続き

【守る会・三浦小太郎事務局長】
 最後に、RENK・救え!北朝鮮の民衆/緊急行動ネットワークの高英起(コ・ヨンギ)さん、またビデオジャーナリストでもあります。高さんからこの映画ならびに、そしてRENKとして今後の北朝鮮の状況について、また帰国者について、一言お話をお願いします。

【RENK・高英起(コ・ヨンギ)さん】
 どうも、こんにちは。救え!北朝鮮の民衆/緊急行動ネットワークの高英起(コ・ヨンギ)と申します。あまり時間もないのでそんなに長く話はできないと思うんですけども、まずちょっとこの映画の感想を述べさせていただきます。

 僕は1966年生まれですから、この映画は1964年ということで生まれる2年前ですか。僕自身は、家は朝鮮総連系の家庭に育ちましてね、高校だけですけども朝鮮学校を出ています。幼少期の思い出として、一番やっぱり家にあったのが“朝鮮画報”といって今はもうないんですけども、いわゆるグラフ雑誌で、朝鮮総連が出した機関紙ですよね。そういうのを小さい頃何もわからずによく見ていまして、この映画を観て非常に思い出しました。

チョンリマパンフレット05.jpg

*チョンリマパンフレットより。

 当時の千里馬、「千里を走る馬」ということで、「それほど北朝鮮が躍進しているんだ」という象徴として“千里馬”という言葉を確かに当時はよく使われていたと思います。

 それで今この映画を観て、基本的には100パーセントプロパガンダ映画なんですけれども、そう言ってしまうと面白くないので、ちょっとまぁひねくれた見方というか、僕なりの感想をちょっと述べさせていただきます。

 僕は思っていたよりもイデオロギー色が弱いなと思いました。朝鮮学校とか通じて、こういうプロパガンダ映画を本当に腐るほど観てきたんですけども、それに比べるとかなり弱い。弱いというのは、それは意図的に弱くしたかどうかではなくて、まだそこまでする余裕がなかったんじゃないかな?という気もするんです。だから例えば観ていてキレイな方もおられると思うんですけども、バッチは皆つけていませんよね。バッチをつけるというのがまだなかったのかもしれません。それはよくわかりませんが、当然あったらつけるはずなんです。そのバッチをつけていないということ。

 あと面白かったのは、農村で皆さんが踊る風景とかありましたね。あそこで流れている音楽というのは、朝鮮の伝統的な音楽なんですけれども、今日流れていた音楽と違って、その後朝鮮のああいう音楽っていうのは全部近代化というか、朝鮮独自の音楽に変わっちゃうんです。ああいう打楽器だけではなくて、それにいわゆるオーケストラチックな歌をつけたりとか変わっていくんですけども、それが結構、素のままで出ていたというところでは、非常に僕はまだ牧歌的な雰囲気が残っていたし、そういうことをすべて変える余裕もなかったのではないか?と思っています。

 僕はそういう意味では、この映画というのは貴重な映画だったし、本当に観ていてちょっとあの語弊があるかもしれませんけど、「非常に楽しかった」というのが今日の感想です。

 この映画を、先ほど萩原さんが指摘されたように「減っていく帰国者、それを新たに盛り返そうとしてやった」と言う指摘というのは、僕は非常に正しいと思います。映画は64年、僕が生まれたのは66年ですから、もう生まれた頃には帰国するという話はほとんど聞いていません。僕の親戚も帰国しているんですけど、やっぱりもうちょっと前です。60年代前半まででしたから。

 そういう意味では、やはりそれをもう一回する(盛り返す)ためにこういう映画が作られて、また宣伝が行われたんじゃないかというように思っております。それは非常に評価して宣伝した日本の進歩的なマスコミとか進歩勢力、そういった方々の罪は大きいなと僕は思うし、今だからこそそれは問うべき問題じゃないかと思っています。

 帰国者問題について、若干、僕たちの見解というか個人的な主観も含めて言わせていただきます。「何であんなにたくさんの帰国者が?」って、やはりみんなが思われると思うんですけれども、まずこの映画が多分かなり後の方ですが、やはり朝鮮戦争が終わった、朝鮮戦争が53年に終わって、その当時の在日の生活状況を考えると、あくまでも想像でしかないですが、かなり苦しかったことが非常に想像できると思います。

 一つエピソードがありまして、これは文献として残っているんじゃないかと思いますが、一時帰国船で、ちょっと年代を忘れたんですけども、まだ朝鮮戦争が終わって間もない頃に、一時帰国船で在日の代表団が北朝鮮に帰るわけですよね。それは臨時です、永久的に帰るとかそういうのではなくて、代表団が北朝鮮に帰るわけですよね。その時に故金日成主席が在日の代表団に対してこう述べているんですよ。

 「先生たちは今は日本で苦労されて、非常に心も体も疲れているでしょう。私たち祖国でとりあえず一時の間ですけれども、ゆっくり体も心も休めてください」と言うんですよね。ちょっと僕の記憶が定かでないので正確ではないかもしれませんが、これを読んだ時に「ああ、何故在日がこれだけ騙されちゃったのかなぁ」というのがわかったような気がするんですけども。

 先ほども言いましたように、当時の在日は貧しい中で生きてきたわけです。生きてきて、本当に船といっても当時北朝鮮に行くのは大変なことでしたから、それを北朝鮮に行って、当時も金日成というのは日本の朝鮮総連とか支持する方から見ればそれなりのカリスマ性があったわけですから、そのカリスマ性を持った一国の主席から「先生」という言葉で迎えられるということ自体、僕はこれはコロッと騙されちゃったんじゃないかなと思うんです。

 もう一つはやはり北朝鮮側の事情があったんじゃないかと思います。やはり北朝鮮側としましても、朝鮮戦争でかなりの数の方が亡くなっていて、その復興をしなければいけない、そして労働力が必要だったんじゃないかと。そのために在日に対して「帰国しなさい」というような宣伝をやっていったのではないかと思います。

 よくこんな話を言う人がいまして、「金日成は最初から在日を人質にするつもりで帰国をさせたんじゃないか」と。僕はそれは違うと思うんです。当時「金日成は在日を人質にして後々在日からお金を絞りとろう」とか、そこまで考えていなかったと思います。何故なら当時の在日はそこまで、今も裕福とは言えないんですけども、みんな食べるのも必死で、その日暮らしの方がたくさん多くてそんなことを考えることはなかったと思います。

 ただ結果的に、この金日成の戦略が見事に当たっちゃいまして、在日朝鮮人の中にはそれなりに頑張って裕福な方も出てきて、その方からお金を絞ることができたという、これは結果論だし、そういうところで金日成さんというか、北朝鮮という国は運が良かったんじゃないかと思っております。

 いずれにせよ、この映画に現れるような帰国問題、なかなか“RENK”っていうのは、実は基本的に我々は北朝鮮の民主化っていうものを訴えているわけで、帰国問題に関してはむしろ難民基金や守る会の方々がやっていただけるんで、我々としてはそんなに熱心にやっていないんです。結成当時からそういったことをひっくるめて「人権問題」というものを訴えてきましたし、それが最終的に北朝鮮の民主化につながるようなかたちで訴えてきております。

 今後もこういったシンポジウムに積極的に参加させていただいて、我々なりの見解、それで私も一応在日コリアンの端くれですので、在日コリアンとしての立場とか考え方っていうのを述べさせていただきたいと思います。どうもありがとうございます。(大拍手)

*RENK・救え!北朝鮮の民衆/緊急行動ネットワーク
http://www.bekkoame.ne.jp/ro/renk/

【守る会・三浦小太郎事務局長】
 ありがとうございました。最後に司会というより「北朝鮮帰国者の生命と人権を守る会」としてぜひ付け加えておかなければならないことがあります。

 このような映画を今観ますと、どちらかというと「騙されてしまった」もしくは「騙した」とそういう表現でどうしても私たちは印象づけられる面があります。ただこの帰国事業というのは、本当に戦後日本の負の歴史の遺産です。そして、この自由民主主義の国から9万3000人の人たちが共産主義の国に、共産主義を名乗る国に帰って行ったなどということは、人類の歴史の中でこれが最初で最後でしょう。そしてこのような負の遺産を私たちは今、何とか清算しなければならない時にきている。

 こちらにいらっしゃる二人の脱北帰国者の方、実は本日も、後に発言されます荒木和博代表の好意によりまして、特定失踪者問題をやっています「しおかぜ」という北朝鮮向けの放送がありますが、こちらで日本から初めてこの日本にいる脱北者の方が北朝鮮に向けて、北朝鮮の帰国者・日本人妻に向けて電波を飛ばすことになっております。

*'06 12/17 TBS「報道特集」(2)北朝鮮に発信 帰還事業の真実
http://aoinomama13.seesaa.net/article/33130475.html

 このようなかたちで私たちも、すでにこの映画に映った方々は年老いて、おそらくこの世にはもういらっしゃらないでしょう。もしくはもっと早くに亡くなったかもしれません。この日本から旅立って行き、天国に行ったつもりであったか、もしくは祖国に自由を求めていったのか、そういう方々が今、何とか死に物狂いで北朝鮮を脱出して、この日本を目指しております。

 これは「北朝鮮難民救援基金」が先駆的に非常にこの方々の救援をしてきましたが、私たちはなかなかそういうダイナミックなことができていませんけれども、せめてこの日本に戻って来た人たちがより少しでもその人生をやり直せるように、幸せに生きていけるように、私たちが努力していくことは大きな務めではないかと。

 この帰国事業を単に怒りだけで、怒りやまた批判だけで終わらせるのではなくて、さっき金日成が言った「北朝鮮に帰国したら少し休んでください」それと同じように私たち日本国民がですね、40年間本当に苦労してこられたどころか、明日の命もわからないような状況で生きてきた方々をこの日本にもう一度温かく迎えるように、皆さまのお力を貸していただければと思います。(大拍手)

(李ミンボクさんのお話に続く)
posted by あおいのママ at 09:10| 千葉 霧 | TrackBack(0) | '06 12/10 映像とシンポで語る北朝鮮 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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