2007年02月03日

'06 12/10 TBS「報道特集」(1)“新型”偽100ドル札

*'06 12/10TBS放送の「報道特集」の一部を文字化しました。

核実験直後の中朝国境地帯。そこで目にしたもの・・・。密貿易業者が北朝鮮から持ち出した100ドル札。「これはすごいですね」本物に迫るほどに進化した偽札があった。その驚くべき技術とは。潜入、中朝国境地帯。最も精巧な新型偽100ドル札を独占入手した。

脅威の最新偽札 独占入手

【司会者・田丸美寿々さん】(スタジオにて)
 「続いての特集はこちらです。長らく中断していました六ヵ国協議、ようやく('06 12月)16日にも再開の見通しとなってきました。で、協議の再開に向けて北朝鮮が強く求めていますのが“金融制裁の解除”なんですが、まぁアメリカを中心として北朝鮮を金融制裁によって強く締め付けている背景には、『国家ぐるみで行っている』とされる北朝鮮の偽札の偽造問題があります。

 私たちは今回、これまでになかった精巧な改良が加えられました新型の偽札を発見、そのしたたかなからくりを追いました。」

独占入手 最先端の偽札

【ナレーター】
 闇に紛れた2つの影。「見つかったらやばい?やばい?」国境を越え、男たちはやって来た。「あっ!来た来た来た!!」北朝鮮と中国の国境地帯で密かに繰り返される偽札の取り引きをついにとらえた。「とっとと消え失せろ!」「何でダメなの?」「銃で撃たれるかもしれない!!」見え隠れする北朝鮮の影。「これは偽物よ!」中朝国境地帯、最先端の偽札を入手した。

“北”の偽札 ヤミ取引の現場

【ナレーター】
 北朝鮮が核実験を実施した3日後('06 10月12日)、私たちは中国東北部の中朝国境地帯にいた。

【記者】
 「中朝国境地帯の中国側の警備隊本部です。」

【ナレーター】
 予想とは裏腹に、国境付近の警備隊本部や検問所も兵士の姿はほとんど見られなかった。町の様子はどうだろうか。(中国・図們)市場の中をのぞいて見る。カニだ。北朝鮮産の海産物が豊富に並んでいた。店主に北朝鮮の核実験の影響について尋ねた。

【記者】
 「これ、こんなにいっぱい簡単に北朝鮮から輸入できるんですか?」

【店主】
 「(北朝鮮からの輸入品は)簡単に手に入ります。」「政治的な問題はよくわからない。」

【ナレーター】
 何事もなかったかのように平静を保つ町の人々。「核実験の影響はない」と言う。

【記者】
 「この(川の)向こう側はもうすでに北朝鮮です。北朝鮮の村が見えてきました。」

【ナレーター】
 国境の川、豆満江(トゥマンガン)のその先に北朝鮮の領土が広がる。向こう岸で、故金日成主席の肖像画が私たちを見据えていた。

 「わが党(朝鮮労働党)が決心すれば我々(国民)はやる!」

 強気のスローガンは、誰に向けたメッセージなのだろうか?

【記者】
 「北朝鮮の国境警備兵ですね。こちらを見ています。」

【ナレーター】
 国境付近の警戒にあたる北朝鮮兵士に遭遇した。兵士の傍らに射撃訓練用の人型の的。

【中国人通訳】
 「何をしている?」

【ナレーター】
 兵士に核実験について尋ねようと試みたが・・・。

【記者】
 「エンジン、エンジン、オフ」

【北朝鮮兵士】
 「そこから消え失せろ!」

【中国人通訳】
 「(兵士が)怒っていますよ!」

【記者】
 「何で?何でダメなの?」

【ナレーター】
 中国人通訳は私たちの行動を制止した。

【中国人通訳】
 「国境警備隊とこんな事をしたらまずい!」

【記者】
 「まずいって何が?」

【中国人通訳】
 「銃で撃たれるかもしれない!!」

【ナレーター】
 「かつて撃たれた経験がある」、中国人通訳は真剣な眼差しで私たちにそう警告した。

 中朝国境の都市・延吉。この町では「北朝鮮製の偽ドル札がヤミルートで売買されている」という。私たちは偽ドル札の実態を探るため、ある密貿易グループとの接触を試みた。

 深夜0時過ぎ、指定された約束の場所へと向う。人影もまばらな裏通り、ナンバープレートに北朝鮮の地名が記されたトラックが止まっていた。そこに現れたのは密貿易を生業とする男たち。

【記者】
 「ああーっと、この人かなぁ?」

【ナレーター】
 画面左が北朝鮮と中国を行き来する中国人の運び屋。右の男は中国人の売人だ。

【記者】
 「見つかったらまたやばい?やばい?撮らない方がいい?」

【ナレーター】
 無言で私たちの車に乗り込んできた。運び屋の男が「北朝鮮から持ち込んだ」という小さな包みを売人に手渡した。「国境の川を渡って来た」というその包みは、ビニールで厳重に包装されていた。

 その中身は、偽100ドル札が数枚。「北朝鮮製だ」という。売人の男は「偽100ドル札1枚を北朝鮮の軍関係者から日本円でおよそ3,000円で買い取り、これを中国で転売する事で利益を上げている」という。質の良い偽札ほど高く売れるらしい。

 偽札を紙で強くこすりつけ、インクの質を確認する。

【売人】
 「色がつけば本物に近い」

【ナレーター】
 ところが・・・。

【売人】
 「何だ、これは!こっちへ来て見てみろよ!」

【ナレーター】
 紙幣が2つに剥がれた。表と裏で別々に印刷したものを貼り合わせた質の悪い偽札だった。

【売人】
 「こんな偽札は見た事がない」

【ナレーター】
 これでは売り物にならない。男は「北朝鮮側に騙された!」と愚痴をこぼした。

 しかしこの後、私たちは未だかつて見たことのない精巧な偽ドル札と遭遇する事になる。

“北”の偽札 流通のナゾ

【ナレーター】
 偽ドル札の初期型“スーパーK”が初めて見つかったのは、今から17年前のこと。以来アメリカは「北朝鮮が関与している疑いが強い」として捜査を続けてきた。その間にも偽ドル札は進化を重ね、現在は“スーパーZ”と呼ばれる精巧な偽ドル札が世界を震撼させている。

 今年10月('06 10月)、アメリカ財務省は「これまで押収した偽ドル札はおよそ5,000万ドル、日本円で60億円相当に上る」と報告。さらに「精巧な偽ドル札は、北朝鮮の国家が関与して作られている」と断定した。

 元警察庁幹部が、北朝鮮製偽ドル札の流通ルートについて、次のように指摘した。

【元警察庁幹部】
 「北朝鮮国内で(偽札を)製造して、それを大量に持ち出すには『外交パウチ』という、その外交特権を使って運び出すのが一番安全ですよね。『外交パウチ』を開ける事は、相互条約に基づいてできない事になっていますから。ですから北朝鮮にしてみれば、その特権を隠れ蓑にして(偽札を)運び出そうと―。」

【ナレーター】
 『外交パウチ』とは、国家の重要な文書などを封印した袋のこと。「北朝鮮の外交官自らが偽ドル札の密輸に関わっている」という。

【元警察庁幹部】
 「私が得た情報ですと、北朝鮮の東南アジアの大使級の人間が、いわゆる日本流に言うズタ袋、あれを背負ってですね、その国と平壌を往復する。そんなに大きな袋に何が入っているのか?と。しかもやたらと大きいんです。その人の身長くらいあるような袋ですから。そういう方法で彼ら(外交官)が(偽札の)運びをやると。」

【ナレーター】
 北朝鮮は国内で製造した偽ドル札を海外の金融機関に持ち込み、本物のドル札に交換する。いわゆる「マネーロンダリングで莫大な利益を上げている」という。こうして得られた資金が「北朝鮮の核やミサイル開発の資金源になっている」と言われている。

 密貿易グループから再び連絡が入った。

(2)に続く
posted by あおいのママ at 17:59| 千葉 晴れ | TrackBack(0) | 報道番組テキスト | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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