*講演内容を文字化しました。聞き取りに間違いのある可能性もございます。どうぞご了承ください。
【司会者】
続きまして、特定失踪者問題調査会専務理事・村尾健兒さんにお話をしていただきます。村尾さんはただ今調査会が北朝鮮向けに放送しております「しおかぜ」の実務面を担当されております。それではよろしくお願いします。(拍手)
【特定失踪者問題調査会専務理事・村尾健兒さん】
こんにちは。今ご紹介いただいた通り、私が短波放送「しおかぜ」をやっております村尾と申します。「しおかぜ」も今年で2回目の正月を迎えるという事になってしまいました。あまりこういう放送は長くやっていてもいいという事ではないと思います。それでもですね、ここまで我々がこの放送をやれてきたという事は、ここにお集まりの皆さんを始め、全国の皆さんからのご支援があったからでございます。
放送開始する前からお金があって始めた放送ではありません。「何としてでも拉致被害者の皆さんにご家族のメッセージを伝えたい。日本は皆さんを救出する事を考えている。今そういう運動が起こっているという事を伝えたい」という、「そういう放送をしよう」と始めました。現在そのご家族の方々のメッセージ、こちらにいらっしゃる有本さんや斉藤さん、特定失踪者のご家族からお手紙をいただいたりしている番組、それから我々(調査会)のポスターに出ている方々のお名前の読み上げ、そういうような番組の放送をしております。
その中でですね、やっぱりあのご家族の方々に直接お話をうかがって「何か被害者の方々、ご本人たちにメッセージをないか」とインタビューさせていただいておりますが、やはり先ほどから皆さんがお話されているように、それまでに非常に苦しい思いをされていて、なかなか人から相手にしてもらえなかったり、そういう気持ちをどこにぶつけていいのかわからない、という思いをされている方がたくさんいらっしゃいました。その思いを直接ぶつける方も非常に多く、「やっとこういう機会ができた」と大変喜んでいるご家族もいらっしゃいます。
しかし半面ですね、「どうやってその気持ちを伝えたらいいのだろうか。今さら家族がもしこの放送を聴いていたとしたら、今まで捜せなかった事を許してくれるだろうか」と非常に強い思いを持たれているご家族もいらっしゃいます。そういうご家族の方たちの思いを、この放送は乗せてやっているのでございます。
そういった中で、やはり北朝鮮というのは非常に卑劣な妨害電波というものをかけてきています。その一つの要因として、当初始めた「ご家族の思いを伝えたい、日本政府は国民は拉致を忘れていない、今、救出しようとして頑張っている」との放送の他に、「外部の情報を中に入れていかなくてはいけない」という「しおかぜ」には大きな役割があります。昨年の4月からニュース番組、日本語と英語と朝鮮語を使って国内で起こっている拉致救出運動や、拉致関連のニュース、アメリカなどの世界の情勢の動き、12カ国に及ぶと言われているその拉致被害者の方々の情報をニュースにして毎週更新して流しています。
日本語のニュースは当然、日本人の拉致をされた方に向けての放送です。朝鮮語については朝鮮語のわかる、当然向こうの幹部ですとか、そういう人たちにもメッセージを送るという考えです。さらに英語の放送をしているというのは、これはもう「全世界にこの問題を訴えていかなければいけない。全世界の人たちにこの放送を知ってもらいたい」という思いがありまして放送をしています。
現在、実際に北朝鮮の内部から拉致被害者の方が直接「しおかぜを聴きました」というのは残念ながらまだありません。しかしながら脱北された方々に話を聞くと、ジェンキンスさんの本の中にも出てくるように、彼らが情報を収集するために「短波ラジオを聴いていたよ」と、実際にそれはわかっている話です。
それ以外に全世界の方々、これは20カ国以上に及ぶ世界の方々から「こういう問題があるとは知らなかった」というメッセージがたくさん届いています。ヨーロッパですと、イギリス・フランス・ドイツ・北欧、それからアメリカ西海岸・東海岸、オーストラリア、ニュージーランド、南米ではアルゼンチン、そしてアジア諸国では中国、それからタイ・ベトナム、韓国の中でもたくさんそういうふうな話をいただいております。
さらに、これは国内でも聴く事が可能です。日本の中でも皆さんから非常に多く応援していただいています。私たちのところには受信報告というのが届きますが、その中には全国各地から「頑張ってください」「早くこの放送が終わるように祈っております」というようなメッセージもたくさんいただいております。これも本当に皆さんたちのご支援があって成り立っています。
北朝鮮は妨害電波を仕掛けてきておりますが、やっと日本の政府も、「しおかぜ」の放送にこのような妨害電波のようなものが出るという事で、「やはり公的にやらなくてはいけない」という認識になっていただいたんだと思います。昨年から先ほど有本さんのお父さんがお話した通り、「命令放送」というのがまず最初にありました。一つ皆さん、誤解していただきたくない事なんですが、「命令放送」という事で、一部「しおかぜが政府のもとでやっている」という解釈をした方、非常に多くいらっしゃいました。
これはですね、まったく別の話で、本当に誤解をしていただきたくないと思います。この事によって我々のもとに集まっていたカンパが激減しました。本当に皆さん、単純な誤解だと思うんですが、「政府がやるんであればもうカンパはいいだろう」という意識が多少あったんではないかな、と我々は思っておりますが、その時は政府がNHKに対して「もっと拉致問題を取り上げなさい」という内容で、同時に「しおかぜの支援」という噂が流れたんですが、その時はNHKに対しての「命令放送」についての事だったのです。
しかしながらですね、昨年末には補正予算もの、そして来年度予算案というものが政府の中で考えられて、「一部しおかぜに支援をする」と発表されています。で、今年度の補正予算で一部、そして来年度の予算の中で一部「しおかぜ」に政府から支援と言いますか、政府は「支援という言い方はしたくない」とおっしゃっておりましたが、一部政府から後援があるという事になりました。
しかしこれもですね、全額という事では一切ありません。我々の放送は今現在、1ヶ月60万円の放送配信費用が必要となっております。これを年間やっているわけなんですが、契約は1年契約です。ざっと放送配信費用プラス放送制作費、その他の経費を計算しますと、1500万円程度は放送だけにかかってしまいます。で、(政府の支援は)そのほんの一部です。これはまだ正式に決まったわけではございませんので、正確に政府からいくら出るのかという事は知らされてはおりませんが、まったくほんの一部だけの政府の提供、というようなかたちになっています。
さらに政府は、自ら制作したラジオ番組もやろうという動きも出ています。こういうような動きがやっと政府の中でも出てきたんですね。我々の放送を始め、韓国がやっている自由北韓放送、米国がやっているFEN(Far East Network極東放送)、ボイス・オブ・アメリカ (The Voice of America 略:VOA)やラジオ・フリー・アジア(Radio Free Asia 自由アジア放送)というように、外部の情報を北朝鮮にたくさん入れる必要があるわけです。こういう事によって、東ドイツが崩壊したような外部の情報によって内部から動きを出す、政権を倒すためにはそういうような動きというのが非常に重要になってきます。
我々の放送も、政府が言っているようなバック(一部後援)もありますし、民間の力をできるだけ使って、皆さんの力でこの放送をやっていかなければならないと思いますし、民間には民間にしかできない事もあると思います。そのような状況で放送は続けていきたいと思っています。
それで、我々はずっとこれをやってきてですね、自分たちの手の届かないところで色んな話が起きてしまって、非常に困惑した事がたくさんあります。でも一つだけ皆さんにわかっていただきたいのは、この放送というのは本当に「皆さんたちの放送」だという事です。昨年の人権週間(12月10日〜16日)に公開収録をさせていただきました。その中で、日本人妻の方や脱北帰国者の方のメッセージもいただきました。新たにこういう拉致問題というのは大きな人権問題というふうに解釈をして、放送ももう少しそういうものまで拡大してやっていきたいと思っています。
公開収録の中で集まった皆さんにジングル?と言ってID?ですね、「しおかぜ」という名前で皆さんに「こちらしおかぜです」というメッセージもいただき、その会場に集まった皆さんに「故郷」と「七つの子」という童謡をみんなで一緒に歌っていただきました。その放送は今年の正月、年末から正月にかけての人権週間の特番の中で北朝鮮に向けて放送を流しています。
これは皆さん、本当はお金の支援、先ほど(会場受付に)入ってくる時に、しおかぜのグッズが販売していましたが、そういうような支援グッズのお買い上げも大変非常にありがたいのです。それで実際放送が運営されています。
皆さんの声、皆さんの思い、それも非常に強い支援になっています。たぶん北で「しおかぜ」を聴かれている方は、「こんなにたくさんの人たちが応援してくれる」というメッセージに絶対つながっていく、と思います。ですので、「これは他人事ではない。みんなの力で救出するんだ。救出しよう」という思いを伝えていく、これは非常に大事な役割を果たしていると思います。
というわけで、「政府の支援もあり、しおかぜはもういいんじゃないか?」という誤解は皆さんにしていただきたくないので、今後とも皆さんの力があってこの放送は成り立っていく、という認識を持っていただいて、一つ応援をお願いしたいと思います。ありがとうございました。(大拍手)
*特定失踪者問題調査会
http://chosa-kai.jp/
*しおかぜ通信
http://www.senryaku-jouhou.jp/shiotsuu.html
*「'06 12/16 しおかぜの韻(ひびき)」カテゴリ
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