2006年12月13日

12/12 北朝鮮人権大使サミット 斎賀富美子さん

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*写真は会場の国際協力総合研修所・国際会議場です。(新宿区市谷)

 あおいのママとパパは、北朝鮮人権侵害問題啓発週間(12月10日〜16日)の今週、10日の「映像とシンポで語る北朝鮮」の集会と12日の「北朝鮮人権大使サミット」に参加しました。それぞれのレポートは、主催者の方からビデオ撮影の許可をいただきましたので、出来れば少しだけ文字化をしたいと思っています。どうか気長にお待ちくださいネ!

 前後しますが、12日のサミットで斎賀富美子人権大使が基調講演をされました。そのお話は資料(案)にして事前に参加者に配布されましたので、テキストにして先にご紹介致します。

【斎賀富美子人権大使】

1.はじめに

・本年から設けられた「北朝鮮人権侵害問題啓発週間」にあたり、本会合の開催に尽力された「北朝鮮難民救済基金」、「北朝鮮帰国者の生命と人権を守る会」、「Freedom House」、「North Korean Freedom Coalition」の関係者の方々に心より敬意を表します。

・本日の私のスピーチでは「北朝鮮を取り巻く国際環境」、「拉致問題を含む北朝鮮の人権問題」、「北朝鮮からの脱北者保護」の3点に焦点をあてて、取り上げます。

2.まず、北朝鮮を取り巻く国際環境について延べます。

・北朝鮮は、ミサイル発射実験や核実験を実施し、国際的孤立を益々深めています。核実験により、北朝鮮問題は、完全に「グローバルな問題」になりました。核実験後に採択された安保理決議1718号は、北朝鮮の核は世界の安全に対する脅威であると認定し、すべての国連加盟国に制裁措置をとることを義務づけています。この決議は、中国やロシアを含む全会一致で採択されたものであり、北朝鮮が先軍政治の下に進めている、核やミサイル開発について、国際社会全体が容認できないとして、明確にNOを突きつけたものであります。既に、この決議に従い様々な措置が取られつつあります。

・また、北朝鮮が通貨偽造、偽タバコ、麻薬などの不法行為に手を染めてきたことに対し、国際的な監視や取締りは強化されており、北朝鮮がこれらの違法な手段を通じて外貨を稼ぐことは、益々困難になっています。

・来週18日から、六者会合が再開されることとなりました。日米中韓露の五カ国は、北朝鮮との歴史的、政治的、経済的に濃淡がありますが、北朝鮮の核保有を容認できないこと、再開された六者会合の早い段階で、北朝鮮の核廃絶に向けた具体的成果を達成することが必要であるとの点については明確な意見の一致があります。北朝鮮は、核実験を通じ究極の抑止力を獲得した、交渉のより強いレバレッジを持ったとの感を有している可能性もあろうかと思いますが、国際社会では、核保有が容認されないことを北朝鮮に理解させることが必要です。交渉の成り行きは、予断できないものがありますが、北朝鮮自身の将来にとって、正に大きな岐路(ターニング・ポイント)を迎えつつあると考えられます。

3.次に、北朝鮮の人権問題について述べます。

・北朝鮮国内の人権状況については、閉鎖的社会であるだけに、その実態を把握することが困難な面がありましたが、90年代後半以降、多くの脱北者の方々の証言や彼らを支えるNGOの方々の尽力により、その悲惨な状況が徐々に国際社会に認知されています。例えば、ムンタボーン国連北朝鮮人権特別報告者は、その報告書の中で、拷問、非人道的な刑罰、強制収容所の存在、強制労働の利用など組織的、広範かつ重大な人権侵害を指摘しています。また、軍事費を人権状況の改善のために再分配すること、人道支援に効果的なモニタリングを認めること、政治犯に対する制裁を廃止することなどを勧告しています。

・今年は、7月の大雨で食料生産に大きな被害が出たこと、また、ミサイル発射や核実験の影響で外国からの食糧支援が中断されていることから、今後、食糧問題がいっそう深刻化すると予測されています。WFPは、年間総需要量約500万トンの食糧に対し、約80−90万トンが不足すると予測しておりますが、もっと深刻であり、このままでは90年代後半のように、悲惨な状況が発生すると予測する人もいます。実際にどれくらいの食料が不足するかを把握するのは、困難でありますが、最近、北朝鮮が「苦難の行軍」という90年代後半に盛んに使用した言葉を使用するようになっており、国内の締め付けに躍起になっている様子が伺えます。また、北朝鮮が、食料を地方から都市部に集めている。軍の食糧備蓄ですら、満足に達成されておらず、外国からの食糧支援が来れば、北朝鮮は、優先的に軍にまわすことを計画しているという人もおり、WFPをはじめ食料支援をしている国際機関や各国政府にとっては、より効果的なモニタリングが実施できるか否かが、引き続き大きな課題であります。

・北朝鮮の経済状況については、電力不足がこの数ヶ月の間に更に深刻化しており、工場や鉱山の操業率もいっそう低下しているのではないかと見込まれています。食糧不足と電力不足があいまり、先軍政治の下で、北朝鮮国民の生活は、益々、厳しい状況になっていると考えられます。

・北朝鮮の人権問題に関して、人権委員会は、2003年から昨年まで3年連続で決議を採択しましたが、昨年12月には、国連総会で初めて「北朝鮮の人権決議」が採択されました。今年も、同様の決議案が来週には、総会の採択にかけられる予定です。日本政府は、EUとともにこの決議の共同提案国として、その採択に向け、様々な外交努力を行っています。いずれにせよ、北朝鮮の人権状況については、核の問題やミサイルの問題と同様に既にグローバルな問題になっており、国際社会として、最早放置できないと認識し、その改善を求める状況になっています。北朝鮮はそのような国際社会の動向に極めて神経質になり、反発を強めています。

・拉致問題について申し上げます。拉致問題の解決は、安倍内閣の最優先課題のひとつです。12件17名の拉致被害者が政府により被害者と認定されていますが、そのほかにも30数名の方が北朝鮮によって拉致された可能性が高いと考えられています。また、拉致被害者は、日本人のみならず、韓国、タイ、レバノンなど10カ国以上に及んでいる可能性も指摘されています。安倍総理と麻生外務大臣は、拉致問題をあらゆる二国間会談、国際会議において取り上げ、解決に向けての各国からの協力を要請しています。また、安倍総理を本部長とする拉致問題対策本部を設置し、この問題に取り組む政府の体制を強化するとともに、拉致被害者の「家族会」と「救う会」、「特定失踪の会」などの民間の活動との連携も強化しています。
 拉致を含むすべての北朝鮮の人権問題について、本日、この会合に外国から出席されている方々との連携を強化できることを期待しております。


4.三点目として、北朝鮮を脱出する方の保護について述べます。

・北朝鮮から、命をかけて脱出し、中国に滞在している人の数は、正確には把握されていませんが、数万から十万人以上の方が今も中国に潜伏しているといわれています。これらの脱北者が発生した背景には、経済難、社会的困窮に加え、ムンタボーン国連特別報告者が指摘している深刻かつ広範な人権侵害も大きな要因と考えられます。

・中国は、国内に様々な問題を抱えており、自らの社会の安定を保つことを最重要課題としており、脱北者を不法入国者として扱うとの立場を堅持しています。他方で、国際社会との関係では、様々な意見はあろうかと思いますが、脱北者の入国に現実的な対応をしているのも事実です。また、脱北者の行き先は、韓国が一番多いわけですが、今年になって、アメリカが脱北者を受け入れだしたことは、注目されます。

・日本との関係では、1959年から1984年にかけて、当時日本に在住していた在日朝鮮人を中心に約93,000人もの人が、北朝鮮が「地上の楽園である」との宣伝の下、北朝鮮に渡りました。その中には、配偶者として、北朝鮮に渡った約6800名の日本人も含まれています。日本から北朝鮮に渡航したこれらの方は、北朝鮮の悲惨な境遇での生活を余儀なくされていると言われています。そして、北朝鮮からの脱北者が増加する中で、これらの日本人・元在日朝鮮人の中から、中国などを経由して日本に帰国する人も現れています。

・日本のNGOの中には、このような日本人・元在日朝鮮人の日本への帰国を支援している団体もあります。今年の春に、北朝鮮は、これらの関係者は、北朝鮮人民を誘拐する犯罪者であると主張し、その引渡しを日本側に要求してきました。勿論、日本政府は問題外のことであるということで、応じておりませんが、北朝鮮側が、脱北者の増加に手を焼いていることのひとつの表れではないかと考えます。

・日本においては、本年6月に、おわゆる「北朝鮮人権法」が、成立しました。この法律は、政府に対し、脱北者の保護及び支援に対し、施策を講ずることを義務づけています。現在、日本政府部内で検討がなされていますが、北朝鮮という特殊な国で生活していた方をどのように受け入れるかについては、各国とも様々な問題を克服する工夫が必要だと思います。今後、国際社会が、脱北者に対する支援を求められる状況は益々増えることになろうかと思います。 本日の会合では、脱北者の定着に関して、どのような問題があり、それに対して政府や地方公共団体、民間の支援団体がどのような役割を果たすべきかについて、議論が深まることを期待したいと思います。

5.最後に、本日の会合が実りあるものになるように祈念し、私のスピーチを終わらせていただきます。ご静聴、ありがとうございました。

終わり

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*写真は今年5月、ノルウェー・ベルゲンで救う会神奈川の川添会長が撮影しました。拉致被害者「松木薫さん」のお姉さんの斉藤文代さんと斎賀富美子人権担当大使です。

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*ベルゲン国際会議会場外でアメリカの某団体の方と斎賀富美子人権担当大使と雑談している北朝鮮難民救済基金の野口孝行さんです。

*「第7回北朝鮮の人権と難民国際会議」ベルゲンにて
http://aoinomama13.seesaa.net/article/17933591.html
*「'06 6/4 国際会議報告会」カテゴリ
http://aoinomama13.seesaa.net/category/1602403-1.html

[調査会NEWS 449](18.12.13)より

■齋賀人権大使の発言について

 昨日12日、都内で開催された難民基金・守る会共催の国際会議で第1セッションの基調講演をした齋賀富美子・人権大使は講演の中で次のように語りました。

 「12件17名の拉致被害者が政府により被害者と認定されていますが、そのほかにも30数名の方が北朝鮮によって拉致された可能性が高いと考えられています」

 この「30数名」というのは昨年11月及び本年2月の日朝協議の中で日本側が北朝鮮に安否確認を求めた36名のことを指すものと思われます。

 外務省は「30数名」が誰であるのか、これまで公式的には明らかにしていませんが、実際には次の方々であることがほぼ確実です。

(調査会1000番台リスト)
徳永陽一郎・木村 かほる・加瀬テル子・坂本とし子・屋木しのぶ・水島慎一・斉藤裕・国井えり子・今井裕・大屋敷正行・加藤久美子・園田一・園田敏子・生島孝子・遠山文子・古川了子・高敬美・高剛・大澤孝司・清崎公正・藤田進・国広富子・布施範行・新木章・松本京子(当時は政府未認定)・前上昌輝・金田竜光・山田建治・辻 與一・河嶋功一・山本美保・秋田美輪・林田幸男・佐々木 悦子

(救う会認定…調査会ができる以前から拉致の疑いが濃厚とされていた人)
福留貴美子・小住健蔵

 なお、調査会の1000番台リストではその後日高信夫さんが追加されていますが、この時点ではまだゼロ番台のため入っていません。

 外務省がこれらの人の氏名を出さず、人数も「30数人」としている理由は、警察が拉致でないと判断している山本美保さん、福留貴美子さんが入っているため、省庁間の齟齬をきたさないようにしているものと推測されています。

 そのため、外務省ではこれまで安否照会を北朝鮮側にした失踪者について、家族にも伝えていませんでした。また、その「30数人」をどの程度拉致の可能性が高いと認識しているのかも分かりませんでした。今回の齋賀大使の講演は、原稿をコピーして配布しており、それとほとんど同じ内容で話しています。従って、当然担当部局のチェックが入った上でのことと思われ、その意味でも大変注目されます。
posted by あおいのママ at 08:52| 千葉 霧| Comment(0) | TrackBack(0) | '06 12/12 北朝鮮人権大使サミット | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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