2006年09月21日

9/20 テレビ朝日「報道ステーション」北朝鮮 公開処刑の全貌

*9/20テレビ朝日放送の「報道ステーション」を文字化しました。

北朝鮮 公開処刑の全貌 〜見えてきた“恐怖統治”の論理〜

【司会者・古舘伊知郎さん】
 後ろのこの映像は、7月に「報道ステーション」が放送しました北朝鮮の公開裁判の現場であります。この時に複数の人間が死刑を言い渡されています。そして次の映像、その2ヵ月後ということになりますが、これはその死刑を言い渡された人たちが公開の場で処刑されるというショッキングな映像であります。

 北朝鮮では「民衆に見せつけるための処刑を行う」、その狙いがはっきりと公式文書に記されています。

【公開処刑現場の拡声機より】
「朝鮮民主主義人民共和国の法により、この場で即時処刑に処す」

【ナレーター】
 響き渡る公開処刑の開始を宣言する声。その瞬間を「見届けるように」と集められた群衆の前で、一人の人間が引きずられるように連行されて行く。

【公開処刑現場の拡声機より】
「射撃準備!」

【ナレーター】
 21世紀の今、日本の隣国でまさに行われようとしている現実。独裁体制のむき出しの暴力が意味するもの、映像はその決定的な瞬間を捉えた。

 北朝鮮東部に位置する咸鏡南道(ハンギョンナムド)咸州郡(ハムジュグン)。今年5月、この広場で行われた刑事被告人を裁く公開裁判。「報道ステーション」が入手し放送した潜入映像だ。

【公開裁判の声】
「前に一歩出なさい。この者たちに強制労働を科す。」

【ナレーター】
 白い幕の前に立たされた被告たちに次々と刑罰が言い渡されていく。この時、一人の女性に死刑が宣告された。

【公開裁判の声】
「被害者の頭を殴って殺害した。朝鮮民主主義人民共和国の刑法により、死刑の厳罰に処す。」

【ナレーター】
 読み上げられた判決によれば、女性は食料欲しさに知人の家に忍び込んだ。そこで留守番をしていた子どもに見つかったため殴って殺害。トウモロコシ10キロを盗んで逃げたのだという。

 我々が今回、新たに入手した映像。7月に同じ咸州郡(ハムジュグン)で行われた公開処刑。執行されるのは、広場で死刑が言い渡されたあの女性だという。画面中央には川がゆっくりと流れ、対岸にはいくつもの人影が動いている。川べりで座らされている人間の中に、処刑の時が迫る女性の姿もあるのだ。

【公開処刑現場の拡声機より】
「前の方にいる人たちはもっと前に出なさい。後ろの人たちが見えないから秩序正しく整然と集まりなさい。」

【ナレーター】
 発覚すると危険なため、限られた画格でしか撮影できないが、手前の川岸には付近の住民が集められている。公開処刑が行われる場所と群集がいる場所が川を挟んで対峙しているのだ。裁判を受ける被告や処刑される人間の傍らに立っているのは、日本の警察にあたる人民保安省の人間だという。少し離れてテントか小屋のようなものがある。これが仮設の本部のようだ。

【公開処刑現場の拡声機より】
「最近郡内で摘発された犯罪者への公開処刑を始める」

【ナレーター】
 この処刑現場に見覚えがあるという女性がいた。19歳で中朝国境を越えるまで咸州郡(ハムジュグン)に暮らしていた20代の脱北者。

【20代の女性脱北者】97年に脱北・咸州郡(ハムジュグン)出身
 「こちらの建物はセメント工場です。咸州(ハムジュ)セメント工場。その隣にはアパートもあります。」

【ナレーター】
 彼女は17歳の時、同じこの川原で公開処刑を目の当たりにしていた。

【20代の女性脱北者】
 「各人民班に『公開処刑を見に行け』と指示があるので、みんなで行くのです。『川辺で処刑するのは、銃殺された人の血がたくさん流れるから』と聞きましたが、本当のところはよくわかりません。」

【ナレーター】
 にわかに処刑場の観客席と化した川原。ここにも銃を持った兵士が警備のために配置されている。やって来た男性が傘を開いた。小雨が降ってきたのだ。赤いスカーフを巻いた少年もいた。こうした年端もいかぬ子どもまでもが「人が死ぬ瞬間を見るように」と動員をかけられている。

【20代の女性脱北者】
 「子どもの頃は好奇心もありましたが、実際に見たら恐怖を感じました。目の前で人が銃殺されるわけですから。『罪を犯してはならない』という気持ちになります。自分もいつああなるかわからないから。」

【公開処刑現場の拡声機より】
「次は国家の財産を盗んだ者たちです」

【ナレーター】
 銃殺で執行される死刑を前に、窃盗の罪で“労働鍛錬隊”と呼ばれる収容施設に送られる者たちの名が、延々と読み上げられていく。突然、執行官たちが動いた。死刑判決を受けた女性を非難する声が続く。

【公開処刑現場の拡声機より】
「猟奇的殺人犯であり、革命の敵である○○○を、朝鮮民主主義人民共和国の法によってこの場で死刑に処す。火力指揮官!」
「はい」
「執行せよ!」

【ナレーター】
 労働鍛錬隊送りとされた人がその場に座らされる。そして処刑される女性だけが一人引き出され、執行官に囲まれるようにして連行される。同時に仮設の小屋の側では白い杭のような物が用意された。銃殺に用いる柱なのか・・・?それが地面に突き立てられる。ついにその瞬間がやってきたのだ。何人もの執行官が取り囲む中で女性は柱に縛りつけられていく。

【動員された住民】
 「あんなふうに縛るのか・・・」

【ナレーター】
 処刑の準備がすべて完了したのか、執行官たちは女性から離れた。すべての事は群集の視線の中で行われる。縛られた女性の正面にはすでに3人の執行官が並んだ。彼らは銃殺を執行する射撃手なのだ。

【公開処刑現場の拡声機より】
「射撃準備!」
「革命の敵の○○○に向けて―」

(4発の銃弾の音・・・)

【ナレーター】
 銃弾を浴びて女性は崩れ落ちた。判決にある通りの殺人をこの女性が犯したのかどうか?我々には判断する材料がない。確かなのは、群衆の目の前で無残な最期を遂げたという事だ。こうした公開処刑は北朝鮮で特殊な出来事ではない。むしろ、今年に入るとその恐怖による統治を強化する動きすらあるのだ。

 この脱北者の女性も咸州郡(ハムジュグン)に住んでいた。

【女性脱北者】99年に脱北・咸州郡(ハムジュグン)出身
 「96〜98年の間はほぼ1ヶ月に1回、銃殺がありました」

【ナレーター】
 妻と子の目の前で知人が銃殺されるのをこの女性は見ていた。

【女性脱北者】
 「『銃殺に処す』と言われた瞬間、(彼は)頭をもたげました。妻と子を捜したんでしょう・・・。こんなふうに背中を杭に縛られて、頭も首も腹も足も。(彼は)食べるものがないから、畑で作物を切って盗ったそうです。生きていけないから泥棒をする。本性が悪いのではありません。」

【ナレーター】
 90年代後半、北朝鮮が直面した食糧危機。それは無常にも公開処刑の乱発に結びついていた。

【男性脱北者】00年に脱北
 「(90年代後半には)空腹のため農場でトウモロコシを盗むとか、通信線や機関車の制動に使う銅板を盗んで売る人がいました。そういう人たちを『社会主義制度を破壊する暗躍分子』だとして大々的に殺したのです・・・。」

【ナレーター】
 その後、脱北者の証言などで公開処刑の実態が明らかになり、国際社会から人権問題として採り上げられるようになった。(映像 国連総会・去年12月 非難決議)だが北朝鮮は、この公開処刑の問題でも国際社会からの非難に背を向けた。

 我々が入手した北朝鮮の最高学府・金日成総合大学の公式文書。(学報)今年2月の論文では、公開処刑を正当化し、その狙いを明確に打ち出した。

「一をたたいて数百・数千の群集を教養し、覚醒させる上で最も良い遵法教養形式の一つである」

 体制を動揺させないために人民に恐怖を植え付ける手段。公開裁判と公開処刑は現在の北朝鮮でそのように定義されている。

【諸成鎬教授・韓国中央大学】北朝鮮刑法に詳しい
 「(公開処刑は)住民たちに集団的な恐怖を呼び覚まし、『反体制行為をしてはならない』という意識を植え付ける、高度な心理戦の要素を込めた処刑の技法ではないか?」

【ナレーター】
 “見せしめ”としての処刑。そこに法の正義はあるのか?北朝鮮の刑法で死刑が規定されているのは、殺人の他“反国家犯罪”(国家転覆陰謀罪・テロ罪・祖国反逆罪)など。しかし、その適用範囲は極めてあいまいだ。咸州郡(ハムジュグン)の広場で行われた(5月の)公開裁判では、電線を盗んだだけで死刑が言い渡されている。

【諸成鎬教授・韓国中央大学】
 「北朝鮮社会は法治主義ではありません。金正日の“お言葉”金日成の“教示”などによって執行される。法の執行過程で恣意性・独断性が多く介在する。弁論の機会も与えず即決の裁判で処刑するという、これが今日の地球上で起きているのはとても衝撃的です・・・。」

【ナレーター】
 この脱北者の男性は公開処刑の際、「実際に死刑囚を銃殺した」という生々しい話を知り合いの射撃手から聞いていた。

【男性脱北者】00年に脱北
 「射撃手と(死刑囚)の目が合う事があります。『撃て』の号令がかかると(死刑囚)が反抗できるのは視線だけです。口に小石を詰めてふさいで、もうその人は瀕死の状態です。犬のように半殺しにした者を、ずるずる引きずって縛り付けるのです。(死刑囚は)言葉を発する気力もない・・・。」

【ナレーター】
 群集の目の前で行われた処刑。執行官たちは白い布を出してそれを広げる。これで処刑を終えた遺体を運ぶのだろうか?集まった群衆が、今どのような表情でこのシーンを見ているのか?カメラで捉えられていないためわからない。

【公開処刑現場の拡声機より】
「これですべて終わりです」

【ナレーター】
 撮影者はカメラを隠したが、現場での音声はそのまま記録されていた―。

【公開処刑現場の拡声機より】
「一般住民はまっすぐ帰るようにしなさい」

終わり

*脱北者の証言《資料より》(1)〜(3)
http://aoinomama13.seesaa.net/article/9685031.html
*拉致と北朝鮮人権問題 荒木和博BLOGより
http://araki.way-nifty.com/araki/2006/09/post_858e.html

posted by あおいのママ at 13:29| 千葉 | Comment(0) | TrackBack(0) | 報道番組テキスト | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス: [必須入力]

ホームページアドレス: [必須入力]

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。
この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/24132616
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。
※言及リンクのないトラックバックは受信されません。

この記事へのトラックバック