2005年12月11日
'04 11/2 国際シンポジウム 小川晴久さん(北朝鮮帰国者の生命と人権を守る会名誉共同代表)
*講演要旨レポートです。聞き取りに間違いやカン違いの可能性もございます。どうぞご了承ください。
*'04 11/2 国際シンポジウムに参加しました
http://aoinomama13.seesaa.net/article/10437877.html
【小川晴久さん・守る会名誉共同代表】
ただいまご紹介にあずかりました小川でございます。本日の集会は「北朝鮮 隠された強制収容所」と題した本が、昨年の10月20日にインターネットを通じて全世界に発信されました北朝鮮の山の中の恐ろしい“強制収容所”、それから段々それに近くなっております“教化所”と呼ばれる刑務所、それから脱北者がたくさん出ているわけですが、最近は中国政府がその脱北者を精力的に捕まえて北朝鮮に強制送還しており、その脱北者たちが取調べを受ける場所が“集結所”で、国境沿いにあります。
その3つの実質的には収容所でありますけど、それを北朝鮮人権アメリカ委員会とそのメンバーのデビット・ホークさんが2年をかけて韓国でインタビューをし、大変簡潔な報告書を出されました。人工衛星写真が31枚掲載、紹介されており、とても迫力のある報告書が昨年の秋に出たので、これはいち早く訳さなければいけないと思いました。韓国訳はもう今年の1月に出ておりまして、さすがだと思いますけど、遅れてはいけないということで翻訳の許可を得て、8月末に「北朝鮮 隠された強制収容所」というかたちで草思社さんのご協力を得て日本語版ができました。
実はこの翻訳は私たち守る会と木村晋介さんたち弁護士の法律家の会の両方が申し込んだのですけど、ちょっと先だったということで私たちに譲ってくださったという経緯もありまして、これが出たら記念する集会を持とうと法律家の会の方たちが今日の会を準備してくださいました。本当にありがたい機会になったと思います。
そしてアメリカからこの本の著者のデビット・ホークさんをお呼びすることが実現したわけですが、強制収容所を取材しているのですから、収容所の体験者で韓国に亡命されている労務者から招きたいという要請がありました。それで昨年の10月29日に「拉致と強制収容所」というテーマでここで集会を開いて、耀徳(ヨドク)収容所体験の姜哲煥(カンチョルファン)氏が招かれ訴えました。その姜哲煥氏に相談したんですね、「どなたを呼んだらいいのか?」と。私は顔写真で登場しているある女性の方をお呼びしようかと思ったら、「いや、その方は強制収容所の体験者じゃない」とおっしゃるんですね。
それで最近韓国に亡命された金英順(キム・ヨンスン)さん、満年齢で67歳におなりになりますが、1970年から8年間耀徳(ヨドク)強制収容所で大変苦労された方で、崔承喜(チェ・スンヒ)さんという大変有名な舞踊家が戦前から戦後活躍しましたが、そのお弟子さんであるということもありまして、「初期の耀徳(ヨドク)収容所のことを8年間、体に染みこむかたちで知っている生き証人で、昨年11月末に韓国に亡命した方がいる」と姜哲煥氏から聞き、お願いしましたところ快諾を得て今日ここに来てくださっております。そんな経緯があります。
それからもう一つ。今、川人弁護士から紹介をいただきましたけども、今日の会までに必死になって川人弁護士と私たちが訳しました「北朝鮮の人権」という報告書があるのですが、これは1988年12月にミネソタ弁護士会国際人権委員会とアジアウォッチが共同で編纂して発行した「Human Rights for North Korea」(北朝鮮に人権)という立派な人権報告書が今から17年前に出ていたんですけれども、私がその存在に気がついたのは今から9年前でした。私どもNGOを皆さんと一緒に作ってからこの存在を知った、という大変ある意味では遅れたわけですけれども、これが何故訳されてないのか?訳されてこなかったのか?ということ自体がですね、日本における北朝鮮人権問題をめぐる状況をものすごく象徴していることであります。今回これがやっと日本語版が実現しました。
それからデビット・ホークさんはこの“ヒューマンライツエイジア”というのが今の名前ですけど、昔の名前は“アジアウォッチ”というのですがその理事をされていまして、この報告書にも関係されていたということを今確かめました。ですから今日、デビット・ホークさんはこの報告書と昨年10月に出た強制収容所を主題とした衛星写真入りの報告書、その2つに関与されているという方ですから、その意味で2冊の本をあえて紹介させていただきました。やっと世界一立派なこの人権報告書の日本語版が間に合いました。
今、小泉首相中心に日本政府は六ヵ国協議の方式で北朝鮮問題を解決していこうとしておりますけど、六ヵ国協議の方式の危険なところは「金正日体制を容認する恐れがある」わけなんですね、核問題との取引で。あれを容認してしまったら、あの苛酷な人権状況はまだ20年も解決に時間がかかる恐れがありますので、六ヵ国協議の方式ではなくて、国連人権委員会で特別報告者を任命するところまできて、最近国連総会に報告書を出したとニュースが流れており、それに対して国連の北朝鮮代表は真っ向から「内政干渉である」と言ってはねつけている、という状況があります。
一番注目しなくてはいけないのが、北朝鮮の人権状況を根幹において支えているのが山の中の強制収容所である、ということです。今6つくらいに縮小されているようですけども、それをまずは崩していかなくてはいけない。そのためには31枚の人工衛星写真というのはものすごく巨大な意味を持っております。
ナチの強制収容所の航空写真があるということを知らなかったんですが、アメリカのホロコーストミュージアム、航空写真と入れてインターネットで開いてみますとそれが20数枚出てきます。1944年8月から1945年1月にかけてアメリカの空軍の偵察隊が連合軍の一員としてアウシュビッツ強制収容所の航空写真を撮っているんです。それがアメリカの陸軍の倉庫に眠っていたらしく明らかになったのは1978年頃らしいのです。それでナチの収容所の航空写真が全世界に知られたのですが、比較しますとよく似ています、この写真とですね。
北朝鮮の場合はまだ現在進行中です。この衛星写真を活用して強制収容所から崩していく。こういうやり方が正しいと思っていますから、今日のシンポジウムで金英順(キム・ヨンスン)さんも激しい怒りを持って耀徳(ヨドク)強制収容所のことを告白されると思います。ちょっと長くなりましたけれどもこれで終わりにしたいと思います。ありがとうございました。(大拍手)
*衛星による強制収容所の画像
北朝鮮帰国者の生命と人権を守る会HPより
http://homepage1.nifty.com/northkorea/nkcamp.htm
*デビッド・ホークさんの本「北朝鮮 隠された強制収容所」
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4794213409/ref=ase_kaoru-22/250-8883432-5438639
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