拉致問題の行方は・・ 日朝協議 知られざる内幕
【司会者・田丸美寿々さん】(スタジオにて)
「続いては注目のコーナーです。北朝鮮をめぐる情勢が一気に動き始めています。先週日朝協議が行われたと思いますと、今週にはアメリカが北朝鮮に対するテロ支援国家指定を近く解除する方針だと表明したんですね。まるでアメリカが描いたシナリオに沿ったかのような日朝協議の展開と内容、果たしてその内幕はどのようなものだったのでしょうか?実は日朝協議の開催前から異例の展開をたどっていました。」
拉致・・ 日朝協議の内幕
【ナレーター】
「何がどうなっているのか、皆目見当がつかないんです」外務省幹部が与党関係者にこう漏らしたのは、今回の日朝協議を目前に控えた今月初旬のことだった。日朝協議の議題や日程はこれまで数か月に渡る事前折衝の末に決められてきた。ところが今回は事前のすり合わせがほとんどないまま突然北朝鮮が日時を打診。このため外務省の斎木(昭隆)アジア大洋州局長も政府与党内への事前説明では悲観的な見通しを口にしていた。
【外務省・斎木昭隆アジア大洋州局長】VTR
「今回は内容的な進展は期待できません。」
【ナレーター】
関西大学の李英和(リ・ヨンファ)教授。実は今回の協議に先立ち「4月に重要な局面があった」と打ち明ける。
【関西大学・李英和(リ・ヨンファ)教授】
「今年の4月、中国で日朝の秘密の折衝があったんですけどね、拉致被害者数名、私は4名と聞いていますけどね、『4名程度帰したい』という正式提案があったようです。ただし前提条件が付いていましてね、一つは『横田めぐみさんの偽の遺骨、これを返還してくれ』と・・。」
【ナレーター】
遺骨と引き換えに、これまで帰国を果たした5人の拉致被害者に加え「新たに4人を帰す」という申し出。しかし・・。
【関西大学・李英和(リ・ヨンファ)教授】
「日本側からすれば(遺骨の)返還に応じることはなかなか簡単じゃないですし、そのためにも『4名あるいは数名の氏名を教えろ』というふうに要求したんですけども、北朝鮮側はその時点では名前については言わなかったということで、日本政府としては結果としては遺骨の問題、名前を言わない、ということで呑めなかったんです。」
【ナレーター】
「名前も出ていないのに信用できない」、日本は申し出を断ったという。秘密交渉の決裂で拉致問題は再び行き詰まっていたのだ。ところが今回の協議を終えた12日・・。
【外務省・斎木昭隆アジア大洋州局長】VTR
「非常に重要な問題につきましてですね、大変突っ込んだやり取りを致しました。」
【ナレーター】
一転「成果があった」と述べた斎木局長。実際にはどのようなやり取りがあったのだろうか?交渉2日目の12日午後、北京。会合は斎木局長と宋日昊(ソン・イルホ)国交正常化担当大使、双方の担当課長だけが加わり2対2という極少人数で行われた。「こんなやり取りがあった」と関係者は証言する。
宋日昊国交正常化担当大使
「行方不明者と残留日本人について再調査を行う用意がある。」
斎木昭隆アジア大洋州局長
「再調査という言葉だけではまったく信用できない。」
宋日昊国交正常化担当大使
「行動対行動が我々の原則だ。まず万景峰号の入港を認めよ。」
斎木昭隆アジア大洋州局長
「拉致問題を進展させる意思を信じられるかたちで示すなら制裁を緩和する用意はある。」
【ナレーター】
北朝鮮は「万景峰号の入港禁止解除」を強硬に要求。「拉致問題は解決済み」というこれまでの立場を改め、「再調査」を提案してまで万景峰号にこだわった。それには訳がある。
今年春、私たちは豆満江(トゥマンガン)沿いに中朝国境の町を取材した。国境地帯ではある異変が起きていた。「警備いるいる」「向こうで見てるわけよ」(VTR)目を光らせる北朝鮮兵。銃を携えているのが見える。4月を境に警備は厳しくなり中国当局の検問も増えた。人里離れた山あいの古い小屋。4月終わりに北朝鮮を脱出したばかりの女性が隠れ住んでいた。
【4月に脱北した女性】VTR
「あまりにも生活が苦しくて、食べる物もないし、家族はみんな飢え死にしたし・・。食べ物の値段がものすごく上がって食料費が。だから一日一食でした。」
【ナレーター】
慢性的な食糧不足。行き詰まった経済。さらに今年9月、北朝鮮は建国60周年を迎え一大政治イベントのための様々な物資が必要となる。日本からの物資調達の生命線である万景峰号の再入港がどうしても必要なのだ。
北朝鮮が今回の日朝交渉を前に、万景峰号の再入港をいかに強く望んでいたかを物語るエピソードがある。制裁緩和が発表される2日も前の今月11日、朝鮮総連が万景峰号入港の際の費用について船舶代理業者に早々と問い合わせをしていたというのだ。さらに朝鮮総連に詳しい朴(パク)氏はこんな事実をネット上で見つけた。
朝鮮総連系の新聞“朝鮮新報”。総連の会合での許宗萬(ホジョンマン)責任副議長の発言。「朝米関係、朝日関係の発展で、我々の前には総連結成以来初めての有利な環境が作り出されるであろう。」この発言、実は日朝協議の4日も前のものだ。すでに万景峰号再入港など制裁緩和を知っていたようにも見える。
【コリア国際研究所・朴斗鎮所長】
「7日の時点で言っている。ということは、今回一部制裁解除っていうのは、もう交渉する前から北朝鮮側としては織り込み済みだった、という可能性が高いということです。」
【ナレーター】
万景峰号の再入港を強く求めた北朝鮮。日本はどう対応したのか?北京での日朝協議を終えた翌日、総理官邸で制裁緩和をめぐる重要な会議が開かれた。ところが拉致問題担当の中山総理補佐官が何故か会議の冒頭、メンバーから外されていた。その後、中山補佐官が駆け付けた時には万景峰号の再入港を全面的に解禁する方向ですでに話し合いが進んでいたという。
高村正彦外相
「万景峰号の入港禁止措置を解除すべきだ。」
中山恭子総理補佐官
「万景峰号は経済制裁の象徴的なものだから軽々に解除すべきではない。」
高村正彦外相
「象徴的だからこそ解除すべきだ。」
【ナレーター】
中山補佐官が激しく反対したため、「人道支援物資の運搬に限る」という条件が付いたものの、万景峰号の再入港を強く主張する外務省の言い分が勝った。ではその日本の外務省は日朝交渉で実際何を得たのか?特定失踪者問題調査会の荒木代表。斎木局長から直接説明を受け「ある感触を持った」と言う。
【特定失踪者問題調査会・荒木和博代表】
「斎木さんが『この再調査は今までとは違うんだ』ということを強調していたのが非常に印象的で・・。何人かの名前が事前に政府には通告されていたんではないだろうか?と。」
【ナレーター】
4月の非公式協議には出なかった拉致被害者の具体的な名前が事前に示され、彼らの帰国を前提に今回の交渉が行われたと荒木氏はみる。
【特定失踪者問題調査会・荒木和博代表】
「名前出したら帰って来ると思いますよ。帰って来ることを前提として・・。」
*特定失踪者問題調査会
http://www.chosa-kai.jp/
【ナレーター】
斎木局長自身、帰国後、関係者にこう言い切ったという。「確実な進展がないならば制裁緩和はしない」(斎木昭隆アジア大洋州局長)確実な進展。具体的な名前は挙がったのだろうか?だが一方で交渉に携わった外務省幹部は、制裁緩和が発表された後の世論の反発をこう嘆いたという。「魚を釣るには餌が必要だ。なのに先に鯛を釣ってこいと文句を言われている」この発言、北朝鮮から具体名を示されないまま日本が先に制裁緩和という餌を撒いたという意味だろうか?そんな中、今週―。
【ライス国務長官】VTR
「北朝鮮は近く核計画の申告を提出し、ブッシュ大統領がテロ支援国家指定の解除と対敵国通商法の適用除外を議会に通告します。」
【ナレーター】
北朝鮮が強く求めていたテロ支援国家指定を解除する方針を示し、北との関係改善を急ぐアメリカ。すべてはそのシナリオの中に日朝協議も組み込まれていただけなのか?それとも日本の外務省にも勝算があるのだろうか?
「制裁緩和」に当惑する家族
【ナレーター】
突如動いた日朝協議。拉致被害者の家族は当惑を隠せない。(鳥取県米子市 6月13日)
【記者】
「今までとは違う?」
【拉致被害者 松本京子さんの兄・孟さん(61)】
「ちょっと違いますね。テロ支援国家の解除もあるのかなあというところまできているのかなと・・。」
【ナレーター】
拉致被害者 松本京子さんの兄・孟さん。今回は日朝協議が始まる前日に政府から呼び出しを受けていた。進展があったのか?かすかな期待を胸に上京した。京子さんの母・三江さんは娘を30年以上待ち続けている。
【拉致被害者 松本京子さんの母・三江さん】
「うれしいけどな、大して話もなかったら、せっかく遠いところ(東京)へ行ってもね・・。」
【ナレーター】
1977年、京子さんは米子の自宅近くの「編み物教室に行く」と言って夜家を出た。そして不審な男と一緒にいるところを目撃されたのを最後に消息を絶った。拉致の有力な手がかりがつかめないまま、家族は署名活動などで地道に訴えてきた。失踪から29年、政府はようやく京子さんを拉致被害者と認定する。('06年11月)
それから更に2年、今回北朝鮮側から出てきたのは拉致問題の再調査。被害者の家族がこれまで何度となく聞かされてきた言葉だ。
【拉致被害者 増元るみ子さんの弟・照明さん】
「再調査は、前々から政府には言っているんですけども一番危険な言葉であって・・。」
【ナレーター】
そして斎木アジア大洋州局長の説明を受けても、孟さんが待ち望んでいた具体的な名前は出てこなかった。
【拉致被害者 松本京子さんの兄・孟さん(61)】
「もうちょっとね、何か出るのかな?と思ったけどねぇ。言わないのか、あるのかも分からないしね。一説には特定失踪者のどうも名前が挙がっていたんじゃないか?って説があるんですけどね。」
【政府未認定者 寺越昭二さんの三男・内田美津夫さん】
「(特定失踪者問題調査会代表の)荒木さんの方から『政府の方で何人か名前聞いているんじゃないですか?』という質問出したけれども、それに対して返答はなかったですね。」
【ナレーター】
期待外れに終わった政府の説明。しかし孟さんには何かが引っかかる。
【拉致被害者 松本京子さんの兄・孟さん(61)】
「あんなつじつまの合わないような話で、気がついてみるといつもの事だから別にどうって事はないんですけど、こんだけ回りくどい仕込みをしといてね、何にもなしっていうのはちょっとどうかな?と・・。」
【ナレーター】
目に見える進展もないまま、万景峰号の再入港へと動き出す日本政府。拉致被害者の家族は強く反発した。
【拉致被害者 横田めぐみさんの母・早紀江さん】
「一番私は万景峰号の入港っていう事、一番ショックでしたのでね。それだけはどれだけ長い間、私たちが埠頭に立ってですね、これは止めてくださいと何年かかってやったか分からない・・。」
【ナレーター】
娘を待ち続ける母の思い。松本京子さんの母は今年85歳になった。
【拉致被害者 松本京子さんの母・三江さん】
「再調査しても何回しても同じ事は同じ。誰でも子どもがかわいいのは一緒のことですけんなあ。どこの人もみんな待つ心は一緒です。」
*カテゴリ「拉致被害者 松本京子さん」
http://akemama13.seesaa.net/category/4258708-1.html
よど号メンバー 最新映像
【ナレーター】
一方、日朝協議で出てきたもう一つの提案。私たちはよど号ハイジャック犯の最新映像を入手した―。
北朝鮮が協力を表明したよど号事件関係者の日本への引き渡し。日本の警察当局は北朝鮮に残る実行犯の4人(小西隆裕・若林盛亮・赤木志郎・魚本公博容疑者)をハイジャックの疑いで、そのうち1人(魚本公博容疑者)と2人の妻(森順子・若林佐喜子容疑者)を拉致に関わった疑いで国際手配している。
*国際手配被疑者一覧(北朝鮮による拉致容疑事案について) 警察庁より
http://www.npa.go.jp/keibi/gaiji1/wanted/wanted_j.html
私たちは彼らの最新映像を入手した。この映像は映画監督の若松孝二氏が先月(5月10日 平壌)北朝鮮を訪れた様子を撮影したものだ。(撮影:原渕勝仁)若松氏は自ら製作した映画「実録 連合赤軍」をよど号グループのメンバーに見せるため北朝鮮を訪れていた。
【映画監督・若松孝二氏】VTR
「よど号の連中がね、(映画を)見て何て言うかが楽しみだよ。」
【ナレーター】
滞在4日目(5月13日)、平壌のホテルに彼らが現われた。よど号事件実行犯・小西隆裕容疑者(63)、同じく実行犯の若林盛亮容疑者(61)だ。映画に見入る2人。「自分たちも連合赤軍事件には責任の一端がある」と話した。だがしばらくすると・・。
【よど号事件実行犯・小西隆裕容疑者】VTR
「撮るのちょっと止めてください。」
【ナレーター】
小西容疑者は終始カメラに神経をとがらせていた。この日、若松氏と面会したのは、若林・小西・赤木志郎容疑者の3人。いずれもハイジャックの実行犯だ。一方、拉致事件に関わったとされる3人は若松氏の前に姿を現すことはなかった。
*映画「実録 連合赤軍」(監督・若松孝二氏)についてはこちらをご覧になってください。
↓ ↓ ↓
*'08 5/3 TBS「報道特集NEXT」
団塊世代が起こしたあの事件の真実とは “あさま山荘事件”
http://aoinomama13.seesaa.net/article/96930711.html
よど号メンバーが語った「拉致」
【ナレーター】
かつてJNNは石岡亨さん拉致に関わったとされる森順子(もり よりこ)容疑者、そして若林佐喜子(わかばやし さきこ)容疑者にインタビューを行っている。
*1980年4月、バルセロナの動物園でよど号犯妻2人(森順子・若林佐喜子の両容疑者)と石岡亨さんが一緒に写真を撮られる。ヨーロッパで彼女らと知り合った石岡さんと松木薫さんは北朝鮮に拉致された。(写真は「よど号グループに真相を究明する会」より提供していただいたものです)
【記者】(北朝鮮 '04年10月)VTR
「(写真に写っているのは)お二人であるのは間違いない?」
【森順子容疑者】
「はい、間違いないです。」
【若林佐喜子容疑者】
「そう、間違いないです。ただね、本当にバルセロナで汽車の乗り継ぎ時間にね、(石岡さんに)偶然出会ったんですよ。私たちがスペインに行く、マドリードに行く前に。ですからこの写真一枚をもって私たちが、石岡さんですか?拉致されたというのは本当に非常に心外ですし・・。」
*'05年4月に行われた「よど号犯妻・田中協子被告の第四回公判」(旅券法違反)の時に元被告が判決を前に主張していたことをメモをしました。下記にあります。一言一句聞き漏らさずメモしたわけではありませんが、よど号犯妻の言い分を参考になさってください。八尾恵証言によれば元被告は拉致された有本恵子さんの教育係だったということです。
【ナレーター】
先週金曜日(6月13日)、よど号グループのメンバーが改めて電話取材に応じた。
【若林盛亮容疑者】VTR
「これはまぁ拉致問題を解決するっていうよりも、拉致問題をそういう利用する、政治的に利用するっていう、この後始末に日本政府も困っているんじゃないかと思いますけど。」
*若林盛亮容疑者への電話インタビューについてはこちらにも少し載っています。
↓ ↓ ↓
*引き渡し 紆余曲折も よど号犯ら拉致で手配(毎日新聞 '08年6月14日より)
http://aoinomama13.seesaa.net/article/101337570.html
拉致問題 待ち続ける家族の思い
【司会者・田丸美寿々さん】(スタジオにて)
「はい。という日朝協議だったんですが。日本政府は『一定の前進があった』というふうに一応評価しています。ただご覧いただいたように、家族会の皆さんから見れば反発と不満だらけということですね。」
【作家・重松清さん】
「はい。やっぱり日朝関係ってね、本当にもう様々な要因や駆け引きが入り混じっているわけですけども、でも忘れて欲しくないのは原点はとにかくもう拉致被害者を帰国させる、することだと思うんですね。で、そこを忘れちゃうと、本当にあのずーっと待ち続けてきた30年以上の日々がまた先延ばしされちゃうのだけは避けて欲しいなと思います。」
【司会者・田丸美寿々さん】
「はい。この日朝協議の場で具体的な人名が出てきたのかどうかは分かりません。しかし特定失踪者問題調査会の荒木代表はですね、仮に何人かの名前が出ていたとしても、そしてその何人かの方たちが帰国できたにしても、それで絶対終わりにしてはいけないと・・。」
【作家・重松清さん】
「そう。数名と全員ってのは違うんですよ。」
【司会者・田丸美寿々さん】
「はい。これはまさに国家的犯罪であり金正日総書記が認めたことでもありますからきちんと、再調査を約束したんであれば。まぁそう言っては何ですけど、6者協議は仮にちょっと停滞したにしてもこの拉致問題だけは・・。」
【作家・重松清さん】
「これが日本のスタンスとして持っていって欲しいですよね。」
【司会者・田丸美寿々さん】
「はい、そう思いますけど。皆さん、どうでしょうか。今週の注目でした。」
重松清さん 作家
小説「ビタミンF」で直木賞受賞。家族、子どものいじめなど身近な問題の著書多数。矢沢永吉さんの大ファン。
終わり
'05 4/12 第四回公判 田中協子被告の主張(あおいのママのメモより)
*裁判の間、メモをしながら被告の絵を書きました。
私は無罪を主張します。この裁判が終了したら、両親そして3人の娘たちと一緒に住みたいです。裁判ではずっと拉致問題に絡めて検察側から責められ続けました。そのような関係の事実はありません。拉致問題はこの裁判の審議の対象ではありません。
私は4ヶ月間勾留されました。帰国して4半世紀ぶりの日本、変わらないのは人情でした。故郷の皆さんは涙ながらに私の帰郷を喜んでくれました。それなのに、何故私が極悪人としてこのように裁判で裁かれなければならないのでしょうか?私には分かりません。
私が旅券返納命令を知った時(1988年8月)にはすでに返納期限が過ぎていました。ですから旅券を返納するのは無理なのです。その頃東海岸にいたのですから。それなのに日本国からは「テロをする恐れがある」と言われました。92年によど号犯(田中義三)の妻であることを公表した後、93年5月には国際指名手配をされました。
私は今ここにいらっしゃる皆さんに3つのことをお話したいと思います。
@現時点の公正な判断をお願い致します。私たちがソウルオリンピックテロと関係があると思い込み、それが十数年に及びました。しかしそれらに関して何も証拠は出ていません。私は何でも誠実に答えました。
A皆さんは北の生活について理解できないのではないでしょうか。検察側も「旅券返納命令」を知らないはずはないと思い込んでいました。日本にいる感覚で言っていると感じました。北は一般的に電話がありません。私たちの住んでいた村にも管理の方の所にしかありませんでした。当時そこは郊外でしたから、新聞などの情報手段がいつ到着するかわからない状況でした。88年8月にその記事の載った新聞が来たのかもしれませんが、遅れた可能性もあります。それに私はずいぶん後になって旅券返納命令の載った“かんぽう”が届いて知ったのです。
B意図的・政治的日朝の敵対に、私たちよど号関係者は利用されていると感じました。何故私たちが突然指名手配されなければならないのでしょうか?旅券返納命令は外務省がいち早く私たちに言ってくれればそれでいいのです。北=よど号という図式で広く国民に敵対感情を持たせるためだと思っています。北=ならずもの国家としたいのでしょう。ですから“チマチョゴリ切り裂き事件”などが日本で起きるのです。
夫・田中義三もアメリカ主導の偽ドル事件で捕らえられました。タイでアメリカのシークレットサービスの手によって、偽ドルに指紋をつけるという捏造によって捕まりました。よど号関係者が拉致問題に関わっているといういわれなき証言によって陥れられていると感じています。イラクへの自衛隊派遣問題を含めて日本がおかしくなってきていると思います。夫・田中義三は本当に日本を愛する人なんです。私たちは何かと言えば「テロを起こす」とか「拉致実行犯」だとか言われ、困惑しております。
私は24年間の北での生活、共和国での生活を後悔しておりません。日本人としてとても貴重な体験をしたと思っております。この共和国での体験は、これからのアジアの平和のために活かせると考えています。現在、日本のアジアに対する侵略戦争を問い直すことが求められています。戦後60年の平和と歴史の再検証を求めていこうと思っています。私はテロを起こす危険分子だと、拉致した人間だというふうに利用されていると感じます。
傍聴席にいる皆さん、この裁判を最後まで見守ってください。よろしくお願い致します。
*'05 4/12「よど号犯妻」第四回公判
http://aoinomama13.seesaa.net/article/13636423.html
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