日本政府 経済制裁を一部解除へ 北朝鮮の提案は拉致「再調査」
【司会者・古舘伊知郎さん】(スタジオにて)
「こんばんは。早速ですが、今日金曜日のゲストコメンテーターをご紹介致します。お馴染みの鳥越俊太郎さんです。よろしくお願い致します。
今まで皆さん、日本は拉致問題に関して北朝鮮には何度も裏切られてきましたよね。今日明らかになりましたのは、北朝鮮は「拉致問題の解決に向けて再調査をする」というふうに言った、そして日本はそれを受けるかたちで「一部制裁を解除する方針を決めた」という事なんですが、これの果たしてどこが前進と言えるのでしょうか?
後ろに映っておりますようにですね、夕刻7時から内閣府の方にぞくぞくと家族会の方々が呼ばれました。説明を政府側から受けました。現在も記者会見が続いているという事であります。今日スタジオに専門家の方をお二方お招き致しまして、色々とこの背景について探っていきたいと思います。」
北の提案・・ 拉致再調査 経済制裁は一部解除へ
【町村信孝官房長官】VTR
「北朝鮮側は拉致問題の解決に向けた具体的行動を今後とるための再調査を実施することを約束した・・。」
【ナレーター】
最大の焦点である最も難しい課題だった日本人拉致問題。
【町村信孝官房長官】VTR
「一定の前進はしたという評価はしておりますが、全体的な進展があったというところまでの評価をすることはできません。」
【ナレーター】
結局、解決に向けて進んだのか?それとも・・?
【自民党・安倍晋三前総理大臣】VTR
「行動対行動という姿勢で・・。」
【自民党・山崎拓前副総裁】
「やっぱりあの、対話でなければ前進しないと・・。」
【ナレーター】
国際的犯罪行為に翻弄された日々。一定の前進という言葉を簡単には受け入れられない人たちがそこにいる。
【拉致被害者家族会・横田早紀江さん】VTR
「前進しなければならないと思っていますし、もう限界ですよ、30年も過ぎてね・・。」
「一定の前進」制裁一部解除へ 拉致“再調査”と「よど号」犯
【ナレーター】
昼下がりの成田空港。(午後1時)外務省の斎木(昭隆)アジア大洋州局長は、記者たちの質問に何も答えず、足早に通路を突き抜けた。北京で2日間に渡って臨んだ日朝実務者協議。この表情がやり取りの困難さを物語っていたのかもしれない。午後3時、斎木局長は総理官邸へ。福田総理に協議の内容を報告した。そして午後4時、町村官房長官―。
【町村信孝官房長官】VTR
「協議では、斎木局長より拉致問題の解決に向け北朝鮮側が具体的行動をとることを強く要求した。その結果、北朝鮮側は拉致問題の解決に向けた具体的行動を今後とるための再調査を実施することを約束した。これはこれまで拉致問題は未解決であるとして真相究明等を要求してきた日本側の主張を受け入れて、拉致問題は解決済みとの従来の立場を変更したものであり、一定の前進として評価をする・・。」
【ナレーター】
再調査の具体的な内容についてはまだ決まっていないものの、日本側はかなり踏み込んだかたちで調査するという認識だ。
【町村信孝官房長官】VTR
「白か黒かどっちか分かりませんという意味の調査ではなくて、生存者を発見し帰国させるための調査・・。」
【ナレーター】
一方で、それに伴い日本政府は経済制裁を一部解除する方針だとした。
【町村信孝官房長官】VTR
「一つ、北朝鮮との間の人的往来及び、二つ、北朝鮮からの航空チャーター便の乗り入れ、また現在北朝鮮籍(船)の我が国への入港を禁止しているが、民間の人道支援物資を我が国から北朝鮮に運搬するために北朝鮮籍船を我が国に入港させたいとの希望が出される場合には認めることとした・・。」
【ナレーター】
日本との間を結ぶ万景峰号は今も北朝鮮の港で出航を待っている。注目すべきはこれで事態が動くのか否かという事。北朝鮮はこれまで「拉致問題は解決済み」との立場を崩していなかったが、今回その主張を引っ込めた格好だ。
【記者】VTR
「今回の北朝鮮側の対応をもって拉致問題は進展したと政府は理解するのか?」
【町村信孝官房長官】
「まぁいつも同じ質問と言いましょうか、何をもって進展と言い何をもって・・、それはこれからの再調査などどう行われるかにかかるわけですけども。一定の前進はしたという評価しておりますが、全体的な進展があったというところまでの評価をすることはできません。」
【ナレーター】
実はこの“解決”“進展”については去年3月、政府がそれぞれ定義を上げていた。
【安倍晋三総理大臣(当時)】VTR
「拉致問題の解決というのは拉致被害者全員の帰国でございます。そして進展というのはその帰国に向けてですね、具体的に物事が動いていく・・。」
【ナレーター】
“解決”に関しては被害者と家族全員の安全確保と早期帰国、さらに真相究明や拉致実行犯の引き渡しとした。また“進展”については問題解決に向けて日朝双方の共通認識と北朝鮮側の具体的な行動としている。
拉致問題の“解決”
⇒被害者と家族全員の安全確保と早期帰国
⇒真相究明
⇒拉致実行犯の引き渡し
拉致問題の“進展”
⇒問題解決に向けて日朝双方の共通認識と北朝鮮側の具体的な行動
【自民党・安倍晋三前総理大臣】VTR
「対話と圧力のバランスですね。対話をおっしゃっている方々は圧力そのものを否定している方が多いですね。そういう路線では今まで長い日朝関係見てきて何も得ることがなかった、という事は学習効果としてあるんですね。」(午後6時前)
【ナレーター】
今回の政府の動きについて永田町の反応、様々な意見が飛び交う。
【拉致議連・平沼赳夫会長】VTR
「選択としてはね、ぎりぎりのところであったんじゃないかなと。だから私どもは進展とは思わないけれども、糸口をつけるためにはやむを得なかったんじゃないかな・・。」(午後5時)
【自民党・山崎拓前副総裁】
「今回対話路線によってですね、まぁ双方の一歩前進の歩み寄りが行われた。圧力路線をとる方はですね、制裁を緩和することについて当然反発されると思います。」(午後5時前)
【福田康夫総理大臣】
「まず政府の方針はこれは変わっておりません。あくまでもね、拉致家族被害者の全員の帰国ということを目指しているわけであります。これはもう全然変わっておりません。」(午後7時)
【ナレーター】
今回の日朝実務者協議(中国・北京 12日)、時に握手を交わすなど一見ムードは悪くなかった。
【インサイドライン・歳川隆雄編集長】VTR
「おそらくは今回の記者発表、政府側の公表にはですね、触れられない今後の第2第3段階のステップアップのいわば行程表、ロードマップを具体的なものとして両者ですり合わせをしたと・・。」
【ナレーター】
昨日、協議を済ませた斎木局長。
【外務省・斎木昭隆アジア大洋州局長】VTR
「非常に真剣かつ建設的な雰囲気の中で生産的な事であったというふうに思っております。」(中国・北京 12日午後7時過ぎ)
【ナレーター】
カメラの前で繰り返した言葉があった。「大変突っ込んだやり取りがありました。」「非常に突っ込んだやり取りが・・。」
【インサイドライン・歳川隆雄編集長】VTR
「関係者以外に、例えば拉致被害者の家族の方々を含めた合同調査団を日本側から派遣し、それを北朝鮮が受け入れて合同調査を行うということにまで発展するようであれば、これはまた第2段階の進展・・。」
【ナレーター】
協議にはもう一つ、懸案事項があった。よど号ハイジャック犯の引き渡しだ。
【町村信孝官房長官】VTR
「よど号関係者の問題解決のために協力する用意を表明をしたと・・。」
【ナレーター】
1970年3月、羽田発福岡行きの日航機が赤軍派9人によりハイジャックされた事件。飛行機はソウルを経由して北朝鮮に向かった。北朝鮮に渡った犯人グループのうち、少なくとも4人は今も北朝鮮で生存している。このうち魚本公博容疑者とメンバーの妻である森順子・若林佐喜子両容疑者は警視庁に国際手配されている。ヨーロッパでの有本恵子さんや石岡亨さんの拉致に関与したとされているのだ。

【「よど号」メンバーと接触したグリン・フォードEU議会議員】VTR
「彼らが日本に帰りたい理由は、人生の最後を日本で暮らしたいから、家族と再会したいからです。」
【ナレーター】
アメリカが北朝鮮をテロ支援国家としている理由の一つがこのよど号犯グループの存在なのだ。現在アメリカによるテロ支援国家指定の解除は大詰めを迎えている。日本の立場は微妙だ。政府は指定解除には拉致問題の進展が不可欠とし、ハイジャック犯が引き渡されても拉致問題とは直接関係ないとしている。
【インサイドライン・歳川隆雄編集長】VTR
「私はタイミングとしては北京での6者協議会合、そして7月のサミット時期に合わせた外相会合が日本で開催され、これらを通じて一気呵成に状況打開に進む可能性は排除できない・・。」
拉致“再調査”で「一定の前進」 制裁一部解除に家族会は
【記者】
「まもなく午後7時になります。家族会増元さんや、あっ、写真を持ってらっしゃいますね、そして特定失踪者問題調査会の荒木代表も内閣府に到着しました。まもなく午後7時から説明が行われるということなんですが。やはり緊張した面持ちですね。」
【拉致被害者家族会・飯塚繁雄代表】VTR
「今回、この報告の内容については受け入れがたいと。拉致問題の再調査を実施するという事ですね。この再調査という言葉はもう3回も4回も聞いていると・・。」(東京・港区 友愛会館 午後9時過ぎ)
【拉致被害者家族会・増元照明事務局長】
「私たちはこのまず制裁の解除ありきという永田町の中の勢力争いの中で生まれたものではないか?と思ってしまいがちなほどの今回の制裁解除の即決だったと感じております。」
【拉致被害者家族会・有本明弘副代表】
「(よど号犯の引き渡しは)テロ国家指定解除の日本の反発のガス抜き程度のものだとそういうふうに思っております。」
【拉致被害者家族会・横田早紀江さん】
「もうこれで解決しなければ本当にもう私はどうなのかなって心配なぐらいですけれども。もう必ず解決に向けて動いてほしいと願っています。」(午後9時過ぎ)
【拉致被害者家族会・横田滋さん】
「再調査によって、やはり具体的な成果がなければ本当の意味での解決ではないし・・。」(午後9時過ぎ)
【福田康夫総理大臣】
「交渉しなければ解決しないでしょう、おそらく。交渉しないで解決しなくていいのかどうか、そうはいかないですねぇ。ですから今まで色々な交渉してきたけども、今こういう段階になったということであるというように認識しております。」
「一定の前進」とした政府・・ 拉致被害者家族への説明は
【司会者・古舘伊知郎さん】(スタジオにて)
「うーん。この発表をどう見るか?というのは本当にその読み方が分かれるところです。よく分かりません。専門の方、お招き致しました。私のお隣、まずは特定失踪者問題調査会の荒木和博代表、そしてそのお隣、早稲田大学の重村智計教授にお越しいただいております。お二方、どうぞよろしくお願い致します。
*特定失踪者問題調査会
http://www.chosa-kai.jp/
まず荒木さん、先ほどまでですね、夕刻より内閣府で政府側から説明を受けるところからずっとそこの場にいらっしゃった、まずおうかがいしたいのはですね、再調査をするんだという北朝鮮側、それとよど号ハイジャック犯を返すというその方向、この2つがまぁすでにですね、官房長官発表からずーっときておりますが、それ以外現場で何か新しいことは出たんでしょうか?」
【特定失踪者問題調査会・荒木和博代表】
「ええ、あのもうずいぶんその後たくさん聞かれたんですけども、まったくありませんでした。」
【司会者・古舘伊知郎さん】
「まったくなしですか?」
【特定失踪者問題調査会・荒木和博代表】
「はい、基本的にはもうあの官房長官の記者会見と同じですね、と思います。」
【司会者・古舘伊知郎さん】
「ああ、そうですか。あの、まぁ例えば新聞で言えば読売新聞、あるいはまた毎日新聞も最近ですね、色んな事を一面トップで出して、こういう動きにつながっていくんではないか?となって、そこで期待をしたり考え込む方多いと思うんですね。そのあたりに微塵も触れずですか?」
【特定失踪者問題調査会・荒木和博代表】
「ええ、あの一切、例えば個人名が出るんではないか?とか、そういうことずいぶん言われたんですけども、そういうものは一切出ませんでした。」
【司会者・古舘伊知郎さん】
「ああ、そうですか。そういう中で今も記者会見が、先ほど終わったばかりのようですが、家族会の方々の表情も非常に複雑な表情でしたね。」
【特定失踪者問題調査会・荒木和博代表】
「そうですね、まさに複雑という感じですね。家族会の方々は斎木さんに対しては非常に信頼感はあるんですが、それでも結局こういう回答かという思いが非常に強かったんではないかと思います。」
【司会者・古舘伊知郎さん】
「あの、北朝鮮にはですね、この件ではずーっと騙されてきたという経緯を考えますと、再調査に日本がどう関われるのか?という点もですね、非常に冷静になっておかなきゃいけないっていう点はありますよね。」
【特定失踪者問題調査会・荒木和博代表】
「はい。ですから私はおそらくですね、我々にも出てきてない事があったのではないだろうかなと。それはですから事前に、どういうルートか分かりませんが、個人名が何人かやはり日本政府の方に提示をされているのではないだろうか?と思います。それがないとですね、今回再調査という事で了解しましたというふうにはならないと思いますね。」
【司会者・古舘伊知郎さん】
「そうですね。要は今生存されている方を返す気があるのか?ないのか?という1点を北朝鮮側から引き出してもらいたいと思うところ、そういう含みがまだぼんやりとありますよねぇ。鳥越さんね、そのあたり昨日から今日、斎木さんが帰って来る流れの中で、何か時間的な1日の空白があるという事で色々こう推測してしまうところないですか?」
【鳥越俊太郎さん】
「あの、まぁ斎木さんというのはですね、最初からこの問題ずっと取り組んでおられる方ですよね。で、非常にどっちかっていうと筋を通していかれている方で、この斎木局長は自分の判断でできない、帰って総理大臣始め上司の判断を仰ぎたい、という事で帰って来られたということが一つ。だから何か具体的な提案があったとしか思いようがないと。
それから再調査という言葉の割にはですね、一部の、例えば人的往来とか人道支援物資への万景峰号を(港に)入れるとかそういう制裁を一部だけど解除するという事をもう踏み切ってしまっているという、こういうところを見るとね、今荒木さんがおっしゃったように何か家族会への説明になかった何か具体的な話が絶対あったと思うんですね。それが出ていない。」
【司会者・古舘伊知郎さん】
「はい、それであのご専門の歳川さんもVTRの中でね、洞爺湖サミットを挟んでの第2ステップ第3ステップという事も言及されていた、さあ重村さん、そのあたりはどういうふうにご覧になりますか?」
【早稲田大学・重村智計教授】
「これ今回の会合は長いこれまでの交渉、それから今の国際情勢を取り巻く情勢から見ればですね、目的は一つ、北朝鮮側にとってはテロ支援国家指定を解除するための会合だったわけですね。ですからそのテロ支援国家指定を解除するための状況を一生懸命に今作っている。逆に言うとテロ支援国家指定が必ずしも簡単ではないという事を言っているわけで、そのために会合があったという事だろうと思いますね。ですから拉致問題の解決するという意味での会合ではなかった、北朝鮮側にとっては、と言っていいだろうと思いますね。」
(2)に続く
*'08 6/13 テレビ朝日「報道ステーション」(2)
http://aoinomama13.seesaa.net/article/101090231.html
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